マティス米国防長官の日本宥めは無駄

日米は北朝鮮から全ての大量破壊兵器と全射程の弾道ミサイル廃棄を実現すると、小野寺防衛相が29日、マティス米国防長官との会談後に発表した。
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「北朝鮮による生物化学兵器含む全ての大量破壊兵器、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全な検証可能な、かつ不可逆的方法での廃棄を実現するため、日米が国際社会と連携して取り組むことで一致。」

マティス氏もこうした立場を強調し、「検証可能かつ不可逆的形で北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイルの完全な廃棄を断固として求める」と述べた。

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どうやらマティス国防長官は、北朝鮮の中距離弾道ミサイルが米朝の取引の対象外になりかねないという日本の懸念を取り除こうとしたようだ。中距離ミサイルは米国には脅威ではないが、日本に到達する可能性は十分ある。

だが予見可能な将来において、潜在的な北朝鮮危機の情勢が続くと考える根拠がある。

北朝鮮は米国と対等な対話を望む。だがこれは世界のどの国もまだ成功したことがない。米国の外交政策は全て、米国例外主義の原則の上に立っている。2013年プーチン大統領がニューヨーク・タイムズに寄稿し、すべての民族が原則的に平等であると想像するよう提案したとき、この記事はニュージャージー州で起きた超大型ハリケーンやアンジェリーナ・ジョリーの乳房切除手術に関する記事とならび、同年最も議論された記事の3指に入った。当時のオバマ米大統領は国連総会でプーチン氏に答え、「同意しない人もいるだろうが、私は米国が例外であると信じる」と述べた。こうしたアプローチは、北朝鮮が降伏とは異なる取引を手に入れることを示唆しないだろう。そうした取引が北朝鮮には必要だろうか?

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さらに北朝鮮に対する強い立場、軍事・経済的圧力は保たれ、強化される。北朝鮮との交渉は米国との選挙サイクルと結びついている。6月シンガポールで開かれた米朝首脳会談は、共和党が過半数を維持する必要がある11月の米議会中間選挙に照準を合わされていた。次の段階は2020年の大統領選挙で、それまでにトランプ米大統領は実感できる結果を示す必要がある。

一方で北朝鮮の主な課題は今、米国との対話を開始して制裁を緩ませつつ、非核化プロセスを出来る限り引き伸ばすことにあることは明らかだ。だが、プロセスは引き伸ばさずとも長期に渡る。最低限の措置の合意でさえ、1年ではすまないかもしれない。

米朝間のアプローチの違いは、次の問題を生む。北朝鮮の忍耐力はどれほどか?

非核化と北朝鮮の核・ミサイル兵器廃棄に関する仮定的な合意は、北朝鮮に対する保証を含む必要がある。だが米国に関して言うと、保証は原則に含まれていない。

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米国は戦略分野を含め自国の国際的義務に対してかなり無造作だ。米国は2018年度軍事予算に、地上配備型の中距離巡航ミサイル開発費用を計上した。これは、当時のレーガン大統領とゴルバチョフ書記長が締結した中距離核戦力全廃条約(INF条約)からの実質的な脱退を意味する。米国は以前、1972年に締結した弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)から脱退。これは、米露の戦略的均衡を保障していた。米国はヨーロッパ通常戦力条約(CFE条約)を無視し、ロシアの国境付近に新たな軍隊を駐留させた。今に至るまで包括的核実験禁止条約(CTBT)は批准されておらず、財源不足を理由に化学物質を廃棄せず、ロシアと結んだ兵器級プルトニウムの廃棄に関する合意に違反した。

欧州、そして日本でも、一方が攻撃された場合に参戦する根拠である安全保障条約第5条を米国が遵守するかには大きな懸念がある。大きく見ても、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や北米自由貿易協定、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの脱退はすでに非難されている。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長はこれをすべて知っており、いつでも対話を止める可能性がある。そのため、マティス国防長官が日本で述べたような北朝鮮の完全な武装解除の要求は全て現在の形の交渉において、希望に過ぎない。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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