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A氏は「日本は、朝鮮半島非核化のための資金供与を行わないと、日本にとっても困ったことになる。北朝鮮の混乱で難民が日本に流入すれば、現在のEUのように困るのは日本だ。また、朝鮮半島、中国東北部及びロシア極東地域との経済連携のチャンスを逸する可能性がある。」と話す。
A氏「これまで日本は自主外交ができていない。これは、戦後の歴史的経緯によるものである。日本は日米同盟を主軸にした外交が組み立てられており、米国の意向が大きく影響している。結果として資金供与を行うことになるであろう。資金供与はODAの枠組みでも供与する話になるのではないか。日本のODAは、戦後賠償として開始されたため、欧米や中国、ロシアとは性格が異なっている。1974年、日本政府は国際協力の実施期間として、1974年に国際協力事業団(※2003年に独立行政法人国際協力機構となる)が設立された。ODAは戦後賠償として開始されたため、開発途上国からの要請主義、例えば「これをやってほしい」と言われたら、日本は資金供与するスキームだ。ロシアを含む他のODAは、国益の観点から独自の外交戦略として行われており、日本のODAは特殊であるといえる。また、戦後の日米同盟を主軸とした外交の影響が大きいことも特徴的だ。」
A氏は、朝鮮半島の非核化に税金を投入することは損ではなく、長い目で見れば経済的なメリットがあると強調する。
A氏「韓国に米軍がいるのは朝鮮戦争の休戦状態だからであり、終戦が実現すれば、米軍の役割が終了するという理屈だ。韓国では、米軍撤退に関する市民デモが行われている。朝鮮戦争の終戦協定が締結されれば、米軍は撤退する流れになるのではないか。欧米の植民地経営は分割統治であり、少し穿った見方であるが、米国政府は、東アジアの統治戦略として、戦争とまではいかなくても、小競り合いがあったほうが統治戦略上有利である。東アジアにおける米国の役割、米軍が駐留する意味が明確になる。また武器もよく売れる。アメリカ軍の韓国撤退に伴って日本でも米軍規模縮小や撤退の流れになれば、日本は国益を重視した独自外交が可能となり、また、朝鮮半島との経済連携により経済的メリットを受けるようになる。」
米朝首脳会談では、合意文書に拉致問題に関する言及はなかった。A氏は、朝鮮半島の緊張緩和が実現すると、拉致問題は難しい問題ではなくなるのだと話す。
A氏「本来、拉致問題は国際犯罪と考えられるが、日本では感情的な議論がマスコミで流されている。本来、外交交渉上の話にも関わらず『国内』の政治問題として取り扱われている。日本には、拉致問題を未解決のままにしていくことに経済的メリットを享受するグループがあるように思われる。本来、拉致問題は、日朝平和友好の延長上に議論されるべき。朝鮮半島の緊張緩和の結果として、今後進むことが期待できると思われる。今後、拉致問題の解決は難しいことではなくなるだろう。」
A氏はまた、今後、日本は日米同盟を主軸とした外交ではなく、米国を含めた全方位外交を目指すべきだと指摘している。