「私の妻は、人形」 テレビRTで人間とセックスドールの関係を描いたドキュメンタリーが放送される

テレビRTで、ドキュメンタリー「私の妻は、人形」が放送された。同ドキュメンタリーの主人公は、実際のパートナーとの親密な関係を、人工的につくられた人形に置き換えた日本人たち。セックスドールの所有者たちは、愛する人形に話しかけたり、プレゼントをしたり、様々な世話をしている。
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スプートニク日本

日本は、世界で最も高度にロボット化された国の一つとして知られている。だがこの傾向は、感情的な面でどれほどの危険性をはらんでいるのだろうか?ドキュメンタリーの主人公たちが、実際の女性よりも人形を好むようになったのはなぜなのか?心理センター「リーチナスチ」のリュドミーラ・ポリャノワ所長は、主な動機は克服しがたい孤独だとの見方を示し、次のように語っている-

ロシア初のセックスドール・ホテル モスクワで開業へ
「生まれつきの節度の感覚や内気な性格などがあるが、それよりも全体的な多忙により、日本人を含む多くの現代人には、周囲にいる現実の人々との関係を構築する機会や時間がないのだ。人形は孤独を忘れる機会を与える。

そして重要なのが、選択の自由が生まれるということだ。人形を使用するのはそれを望んだ時だけであり、パートナーに対する義務は一切ない。多くの人にとって、これは非常に魅力的な形の関係なのだ」

一方でポリャノワ氏は、このようなアプローチは危険をはらんでいるとの見方を示している。人形とのセックスあるいは「関係」は、実際にしばらくの間、現実のパートナー探しから気をそらしたり、孤独を忘れる助けとなる。だが次第に、交流の輪を広げるのがますます困難となる。したがって人形は、状況から抜け出す一時的な解決策でしかないのかもしれない。ポリャノワ氏はこのような見方を示している。

なお日本では、若者の間でも性的関心が低下する傾向にある。タハカシ・ユウスケさんは、BBCのインタビューで「関係を築いていく過程が面倒くさい」と率直に語っている。また女性のために休日のプランをすべて変更するつもりはないという。

日本最大の問題は領土ではなくてセックス
またRTのドキュメンタリーに登場するある男性も、妻とのセックスがあまりにも煩わしいことを認めている。ドキュメンタリーの出演者の中には、人形が無生物であることを理解しなくなった人たちもいる。これは心理学用語で「現実否認」と言われる。だがポリャノワ氏は、主な原因は「現実否認」ではなく、極端に忙しいことだとの考えを示し、次のように語っている-

「過剰な仕事量は大きな精神的問題を引き起こす恐れがある。これを国家レベルで止め、世界観を徐々に変えるプログラムを作成しなければ、国民の健康は損なわれる恐れがある」

ロシアの性科学者レフ・シェグロフ氏は、テクノロジーが人間関係に与える影響について通信社スプートニクに語った。シェグロフ氏はセックスドールについて、異常なものではないが、最も魅力的なロボットでさえ、人間の快楽のためにつくられたものではあるが機械にすぎないと指摘し、次のように語っている-

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「これは自己満足のための改良された単純なメカニズムだ。感情や予測不可能な反応を持つロボットをつくるのは原則に不可能だ。疑似食品を食べて、空腹感を抑えることは可能だが、身体には天然食材に含まれる物質は入らない。ロボットの場合も同じだ。人間は本物の感情、人生をかけがえのないものにする体験や経験を得られない。特定の人物とのセックスや関係は、唯一無二である」

いずれにせよ、あらゆるイノベーションが善悪どちらでも利用される可能性があることを否定する人は恐らくいないだろう。物事は常に表裏一体だ。どちらを選ぶかは、我々自身にかかっている。

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