カトリック教会の新しいセックススキャンダル:法王の覚悟と権限は児童性的虐待に打ち勝てる?

ローマカトリック教会が、子どもへの性的虐待でふたたび騒動の中心となった。アメリカのペンシルヴェニア州で、主教や他の聖職者たちによる多数の小児性愛、児童への性的虐待が行なわれていたことが明らかになったのだ。このような「過失」を、教会自身は隠蔽していたが、人権活動家の反対運動や社会の憤慨によって、この問題を無視することは不可能となった。聖職者によって性的虐待を受けた子どもたち、そしてローマ法王の見解についてスプートニクがご紹介する。
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性的虐待の被害者は何千人にも

ローマカトリック教会は、ここ最近の数十年、全世界で話題になっているスキャンダル、聖職者による性的虐待問題で大きく揺れている。8月中旬、アメリカのペンシルヴェニア州で、同州のカトリック教会で起きた、聖職者による児童への性的虐待についての大陪審の調査報告書が公表された。虐待を行なった聖職者は300名にのぼり、その管轄区域は最低でも6区域(アレンタウン、エリー、グリーンズバーグ、ピッツバーグ、スクラントン)にまたがっていた。この調査によれば70年にもわたって、最低でも何千人という子どもたちが、好色な神父の犠牲になっていたのだ。

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報告書には、「虐待を受けた子どものデータの中には、失われたものもあり、また、恐れのために被害を報告できなかったケースもある。実被害者は何千人にものぼる」「聖職者は小さな少年少女に性的暴行を加え、責任者たちは、何も対処しなかっただけではなく、それを隠蔽した」と記されている。

陪審員が指摘したところによると、カトリック教会による同種の事件は以前から存在していたものの、このような規模は前代未聞だということだ。

偽りの結婚とSM

報告書の中に記載している具体例としてCNNが取り上げているのは、中でもとりわけショッキングな事例だ。グリーンズバーグ管轄区では、17歳の少女が神父によって妊娠した。その神父は結婚証明のサインを偽造し、数ヶ月後に離婚した。全てが露見した後でさえも、その神父は聖職にとどまることを許されていた。ハリスバーグ管轄区では神父が5人の修道女をレイプした。ピッツバーグ管轄区では、教会自らが、15歳の少年が自分から性的関係をせまり、神父を「実質的に誘惑した」のだと発表した。その神父は後に、複数の少年とSMプレイのため接触していたことを自白した。
世界的な兆候

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今回のスキャンダルは、同様の事件がたくさんある中で、露見した中のひとつにすぎない。それを踏まえれば、ローマカトリック教会の聖職者たちによる児童性的虐待は世界中で喫緊の問題になっているという結論を出すことができる。2009年、アイルランドのダブリン大司教区で50人近くの聖職者(うち10人しか罪に問われていない)の性的虐待が隠蔽されていたことがわかった。2011年、オランダでは、60年間にもわたって、オランダ・ローマ教会の聖職者らが何千人という子どもたちに性的暴行をしていたことが明らかになった。

法王はできる

問題は世界的規模に膨れ上がっている。だが、ローマ教皇庁は聖職者のあいだの不都合な傾向に気づかないよう努力し、この状況を個々の聖職者による「罪」や「過失」だと呼んだ。ペンシルバニア州の司法長官は7月25日、ローマ法王フランシスコに書簡を送った。その書簡は、小児性愛者の聖職者が犠牲者を「黙らせようとする試み」を止めるよう、教会幹部らに指示することをフランシスコ法王に呼びかけるもの。

ペンシルベニア州内の性的虐待に関する報告書に、ローマ法王庁は非常に強力な反応を示した-少なくとも言葉の上では。フランシス法王は8月20日、新たな暴露に珍しい厳格さを持ってコメント。ローマ法王庁の公式情報サイト「Vatican news」が報じた声明の一部は以下の通り。

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「いるべき場所にいられず、適宜行動を取らず、多くの人の命にもたらされた被害の規模と深刻さを認めなかったことを、私たちは恥と強い悲しみを持って認めます。私たちは子どもたちを軽視して、放置した。」

言葉だけでは不十分だ

性暴力被害を受けたアイルランド人のマリー・コリンズさんは、法王庁の対応の不徹底さをツイッターで批判。

「バチカンと法王の声明は、虐待がどれほどおぞましく、どのように全員が責任を負う必要があるかを私たちに語ることを止めるべきだ。代わりに、責任を負わせるため何をしているかを教えてください。それこそが、私たちが聞きたいものです。『それに取り組んでいる』は何十年にもわたる『遅れ』の説明としては認められません。」

コリンズさんはまた、フランシス法王の同意に関わらず、法王庁では結局、聖職者の不適切な行為の通報を検討する裁判所は設置されなかったと指摘。

​現在の問題は、聖性とは程遠い状況を変える十分な決意と権限がフランシスコ法王にあるかどうかだ。

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