何百万ドルもの融資とビザ要件の緩和 河野外相によるカフカス訪問の総括

7日、カフカス(コーカサス)地方の旧ソ連3共和国とドイツへの日本の河野太郎外相による6日間の歴訪が終了した。訪問の目的は、これら3カ国それぞれとの日本の協力拡大と、カフカス地方における日本のイニシアティブの後押しだった。ドイツに関して言えば、河野外相が同国を訪れるのは今年で既に2回目。両国とも、トランプ米大統領の行動に反対して、自由貿易を拡大していく意向だ。
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注目に値するのは、これが日本の外相によるアルメニアとジョージアへの初めての訪問であり、アゼルバイジャンについては、1999年に当時の高村正彦外相が訪れて以来2回目の訪問だったということだ。ジョージアの首都トビリシで発言した河野外相は、カフカス地域がアジアと欧州、そして中東をつなぐ門であるため、南カフカスの発展は日本の利益に含まれると述べた。カフカス地方との協力を促進するという使命を帯びているのは、河野外相によって予告された「コーカサス・イニシアティブ」計画。人的資源の発展における日本の協力と、同地方が持つ投資上の魅力を高めることを目的とした経済支援を予定している。そのほか、南カフカスの3共和国全てに対し、日本に入国するための査証(ビザ)要件の緩和が約束された。

ジョージア

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日本はジョージアに対し、2020年末までの完成が予定されている輸送用幹線道路「東西ハイウェイ」の最も難しい区間の建設に3億4300万ドル(約387億円)の特恵的融資を供与する意向だ。日本は既に10年前、この道路の建設の第1段階に2億ドルを供与している。ジョージアと日本は1992年8月の外交関係樹立以降、貿易・経済や投資、インフラ、農業の領域、また保健や情報技術(IT)、文化、観光の分野で協力している。ジョージアのダヴィド・ザルカリアニ外相によると、両国間における自由貿易体制の確立に関する協議に、両国とも間もなく着手する意向だという。ジョージアは既に、欧州連合(EU)や欧州自由貿易連合(EFTA)諸国(スイス、リヒテンシュタイン、ノルウェー、及びアイスランド)、独立国家共同体(CIS)、トルコ、中国、そして香港との自由貿易協定(FTA)に署名している。

アルメニア

日本の外相による訪問は、アルメニアでも高く評価された。同国のゾーラブ・ムナツァカニャン外相は、「我々2国間の議題は26年間で、かなり充実したものになった」と指摘し、「この期間にはアルメニアに対し、特恵的融資として約3億ドル、補助金として約7900万ドルが提供された」と述べた。2018年2月には、投資の自由化や奨励、相互保護に関する合意にアルメニアと日本が署名した、ということを指摘しておこう。

アゼルバイジャン

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アゼルバイジャンに対しては、原油とガスという同国の天然資源が理由となって、日本が特別な関心を抱いている。アゼルバイジャンによる1991年の独立獲得以降、2000年代の中頃まで、日本は総額7億ドルの支援を供与し、2000年からは、アゼルバイジャンでの日本政府のプログラムを利用して、70件を超える社会的プロジェクトが実現されている。日本企業による活動は、アゼルバイジャンの炭化水素資源開発に関するいわゆる「世紀の契約」が1994年に公表されて以降に目立つようになった。1996年には、伊藤忠商事がこの「契約」の株式のほぼ4%を取得し、同じ年の秋には、プロジェクトに日本の石油公団が加わった。

富士山からカフカス山脈までの長大な距離にもかかわらず、少なからぬ相互利益が日本を南カフカスの国々と結びつけていると、ロシア国立人文大学・外国地域研究講座のセルゲイ・マルケドノフ教授はスプートニクに対し述べ、次のように話している。「日本とカフカス諸国には、共通の民族的、あるいは宗教的ルーツはない。これらの国々は、共通の歴史的な筋立てによって結びつけられているのではない。それでもやはり、この地域は日本政府にとって一定の利益をもたらしており、その利益は経済的・地政学的なものだけではない。日本では、カフカス研究がかなり高い水準に達している。日本の学者たちは、欧州や米国の学者と比べて、カフカスで生じている各プロセスに対し、より離れた立場から見ることができる。日本のカフカス研究者たちは、定期的にこの地域に滞在し、同僚や政治家、社会活動家たちと会っている」。

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日本とカフカスの学者たちにとって、地震学と火山学のテーマは身近なものだ。日本では、かなり以前から、カフカスの人々の長寿やカフカスの民間療法、民族間交流などの秘密が研究されている。カフカス山脈は、日本人の観光客や登山者を惹きつけている。これら3カ国の文化は、その独自性により、日本人にとって興味深いものとなっている。ちなみに、日本はジョージアワイン(グルジアワイン)の最大の輸入国の一つである。ジョージアの国家ワイン庁のデータによると、今年の5カ月間だけで9万8千本を超えるワインが日本に向けて出荷されており、この数字は昨年の類似の実績を186%上回っている。

マルケドノフ教授は、「もちろん、カフカスに対する日本の関心は、米国や中国、ロシア、『朝鮮半島問題』、アジア太平洋地域の問題全体、そして中央アジアに日本が払う注意にすら匹敵するものではない。しかし、日本政府は、自らの対外貿易活動の多角化のための小さなチャンスでさえ、また、何らかの地球規模のプロセスにおける、たとえそれが世界のどの地域でも、積極的プレーヤーとなる機会を蔑ろにすることはない。そのほか、南カフカスにおける日本政府の活動は、欧州向けの自国製品のために代替ルートを日本側が探し出そうとしていることによっても説明できる」とまとめている。

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