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陸上自衛隊によるニュースリリースでは、日米共同訓練の目的について、「陸上自衛隊及び米海兵隊の部隊が、それぞれの指揮系統に従い、日米共同による諸職種協同作戦を実施する場合における相互連携要領を実行動により訓練し、相互運用性の向上を図る」と記載されている。
日米共同訓練とほぼ同じ時期(9月11~15日)、中国軍が参加する戦略演習「ヴォストーク2018」がザバイカルで始まる。中国国防省は、「演習の目的は、露中両国の戦略的軍事協力の強化、安全保障上の様々な脅威に対する共同対応の分野における潜在力の強化、及び地域における平和、安定、及び安全の維持である」と発表している。露中両政府が2国間演習を実施するのは今回が初めてではない。ロシアと中国の艦艇は2016年、南シナ海の海域で共同行動の訓練を実施し、2017年には、バルト海でも同様の訓練を行っている。昨年12月には、ミサイル防衛(MD)に関するコンピューターシミュレーションによる共同演習も行われた。しかし、今回のようなロシア領内での大規模戦略演習に中国人民解放軍が参加するのは初めてとなる。
一方、公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務める小泉悠氏は、情報サイト「フォーサイト」で以下のように書いている。「北方領土を巡る日本との紛争の可能性は、依然として主要なシナリオの1つに留まる可能性が高い。『ヴォストーク2018』の開始に先立ち、ロシアは択捉島に戦闘機を配備しており、従来から駐留している陸軍部隊や海軍の地対艦ミサイル部隊(2016年には最新鋭の3K55バスチオンが択捉島に、3K60バルが国後島に配備された)とともに、北方領土の防衛訓練が従来以上の規模で実施されることになろう」。
ロシアの歴史家で東洋学者のアナトーリー・コーシキン氏は、今回の演習について、両国軍による通常の軍事訓練であるとして安心するよう求め、次のように述べている。「朝鮮民主主義人民共和国との対話に傾きつつあるトランプ大統領は、韓国との合同軍事演習を中止した一方で、いつでも演習を再開できるとしている。
だが、もしトランプ大統領が在韓米軍の削減、あるいは韓国からの完全な米軍撤退に踏み切れば、北東アジアにおける米国の影響力は弱くなるだろう。日本と米国の意図が、大規模共同訓練の実施によって抑止力を保つことにあるのは、これが理由だ。
中国に関して言えば、中国はこの地域における自国の国防力に大きな注意を払っている。そして、このことは、日本と米国を脅かす何らかの軍事的計画によってではなく、北東アジアにおける軍事・政治的情勢の急激な変化に向けて態勢を整えておく必要性によって説明される。この変化には、米政府の予測不可能な政策の結果によるものが含まれる」。
予定されていた日米両国による訓練も、中国軍が参加するロシアの演習も、ウラジオストクでの東方経済フォーラム(9月11~13日)と時間的に一致しているということを指摘しておこう。10日には、ロシアと日本の首脳らによる会談が予定されている。