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国連環境計画と世界気象機関が共同で設立した「気候変動に関する政府間パネル」がレポートを発表し、21世紀末に地球の平均気温が1.5度以上上昇した場合、破滅的結果が訪れると警告を発した。全世界の政府は地球温暖化が突きつけるカタストロフィ的脅威を免れるため、前代未聞の決定を迅速かつ大きく先回りしてとらねばならない。行動は直ちに開始する必要がある。レポートをまとめた専門家らは、今手を打たねば地球の環境システムはわずか12年後の2030年頃までには手の施しようのない痛手を受けると締めくくっている。
レポートが基準点に選んだのは19世紀半ば。当時はまだ産業化の開始以前で人類が気候に及ぼす影響はそう大きくはなかった。この19世紀半ば以来、地球の大気の平均気温は0.8~1.2度上昇。これによってグリーンランドや南極の氷は溶け出し、世界海洋の水面は10センチ上昇したため、一連の島国で一部の土地が海面下に潜り、異常な降水量に見舞われたり、オーストラリアのサンゴ礁の一部が死滅したり、アフリカ南部の干ばつや米国を襲うハリケーンが頻発化した。
レポートは措置の一例として温室効果ガスの放出にグローバルな課税を導入することを提案している。2030年まではСО2ガスを1トン放出するっごとに5500ドルを課税、2030年までは1トンあたり2万7千ドルを課税する。自動車に乗る消費者にも同じように、2030年までにはガソリンを1リットル購入するごとに13ドルを、また2100年までにはリットルあたり65ドルを課税する。ノーベル経済学賞を受賞したウイリアム・ノードハウス博士もこの案を熱烈に支持しているひとりだ。
世界自然保護基金(WWF)ロシア支部で「気候とエネルギー」プログラムを率いるアレクセイ・ココリン・ディレクターは、気候変動に関してパッションを煽る必要はないと述べる一方でこのレポートは真摯に受け止める必要があるとの見方を示し、次のように語っている。
温暖化が1.5度を超えないようにするためにはキーとなる経済セクターでの温室効果ガスの放出を削減せねばならない。これはつまり石炭、石油、天然ガスの燃焼を次第にやめ、再生エネルギーや電気を使用する交通手段への移行を意味する。この他、農業、都市建設、産業全体の原則を抜本から見直す必要がある。これを行うには巨額の資金だけでなく、根本から新たな思考が要される。グリンピース・ロシア支部のエネルギープログラムのウラジーミル・チュプロフ・チーフは、このレポートを帰結を無視すればロシアを含め、あらゆる国は過度に破壊的な結果を引き受けることになると警告を発し、ロシアでは、平均気温の上昇率は地球全体の平均気温の上昇率よりも2.5倍も速いスピードで進んでいると指摘している。
「1.5度の地球温暖化」は「気候変動に関する政府間パネル」の特別レポートの第1弾。翌年は気候変動における海洋、雪氷圏について、および「気候変動と土地利用」についてのレポートが発表されることになっている。