スプートニク日本
共同通信によると河井氏は「アメリカには中国の脅威への共同対処としての日ロ平和条約締結の重要性を理解してほしい」としたうえで、安倍首相が在職中に文書に署名してロシアとの領土問題を解決する意気込みだと述べた。
今年1度目の交渉は1月に予定している。安倍首相が1月後半にモスクワを訪れ、25回目となる露日首脳会談をプーチン大統領と行うと見られる。1月14日にはモスクワで露日外相会談を予定している。安倍首相の楽観的な見通しの根拠と、米国の支援を必要とした理由は何だろうか?
日本にとって、この問題に対する米国との協議は不可欠だ。スプートニクのインタビューでロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所のアジア太平洋研究センターのヴィタリー・シュヴィドコ主任研究員が述べた。
1960年に日米安保条約が締結されたことを受け、当時のソ連はクリル諸島(北方領土)引渡しの義務を取り消した。その後もソ連外務省は、ソ連にとってこの問題は存在しないと主張していた。1991年、ゴルバチョフ・当時ソ連大統が訪日中、ソ連側は再び領土問題を認めた。6年後にはロシアのエリツィン元大統領と橋本龍太郎元首相が、2000年までに平和条約を締結することで合意した。だが試みは失敗した。
ロシアの世論は領土に関する譲歩の準備ができていない。地政学問題アカデミーのウラジーミル・アノヒン副会長はそう確信している。
ロシアの独立系世論調査機関「レバダセンター」が昨年11月に行った調査によると、回答したロシア人の74%が日本への諸島引渡しを支持しない。もちろん、適切な世論の準備なしに諸島を引き渡すことはリスクが高いだろうと指摘するのは世界経済国際関係研究所のクリスティーナ・ヴォダ研究員だ。
「だが多くはいかに取引を『料理する』かにかかっている。誰もが気に入るよう『美味しく』料理することも可能だ。ニュアンスを考慮せずに、ぐちゃぐちゃに料理することも可能だ。そのためには柔軟で長期的視野を持つ外交アプローチが必要だ。そして日本が世界第3位の経済大国で、何よりも私たちの隣国であることを忘れるべきではない」
今月9日、在日米軍トップのマルティネス司令官は東京で会見を開き、日本に引き渡されても米国が南クリル諸島に部隊を展開するつもりはないと述べた。その上で、露日首相間で「建設的な結果」が出て、「長期間懸案となっている問題が解決する」よう願っていると述べた。だが、現在の露米関係を考慮すると、この言葉がロシア社会で文字通り理解されることはないだろう。