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生まれ変わったメドベージェワが語る ヴィーガン生活、新チーム、超厳格な日本の規則

世界選手権3冠のエフゲニア・メドベージェワがさいたまアリーナでの戦いを終えて記者団の前に姿を現し、今季味わった困難な変化をどう克服し、メダルまでたどり着いたかを語った。メドベージェワの変化は監督を変え、チームを変えることにとどまらず、生活スタイル、食事、自分へ、そして自分の体への向き合い方のすべてに及んだ。ショートプログラムの演技後、メドベージェワは多くの面で自分はもう別の人間だとうち明けた。そしてすっかり幸せで、メダルや記録のためでなく、「家族、観客、そしてある意味でフィギュアスケートの歴史」のために自分は滑るのだと語っていた。
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私って、里子?

メドベージェワは新たなチームに慣れるにはある程度の時間がかかったことを率直に認めた。それに今までと違う条件でのスケーティングは容易くはなく、これが結果に出ないわけはなかった。

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「シーズン中は終始、変な感覚でした。リンクに出て、振り向くと手すりの向こうには今までと違う人が立っているんですから。だからといってがっかりさせられたわけでもなければ、脅かされたわけでもないんですが、すごく慣れなかったです。ブライアン(オーサー監督)とトレーシー(ウィルソン監督)は私には慣れるまで時間がかかることを見抜いていたと思います。それに彼らにだって時間が必要でした。シーズン半ばのころは時々、これじゃまるで里子だわ、と思ったものでした。可愛がられ、大事にされているのにもかかわらず、自分ではなにかが違うと感じているんです。今はこうした感覚はもうなくなり、お互いに気が通い合い、『クリケット・クラブ』という名前の絆の固いフィギュア家族になりました。

このスタートは私にとっては感動的なものでした。リンクに出て振り返ると、手すりの向こうには私が長い間、自分と一緒にいて欲しいと思っていた人たちの姿がありました。この時、本当の人間的な支えというものを感じたんです。」

ヴィーガン生活 すでに2ヶ月

メドベージェワの食事スタイルは肉と一切の動物性たんぱく質を断つことで変わり、今やほとんどヴィーガンの食生活を変わらない。メドベージェワは、体調もよく、体重コントロールも楽になったという。

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「私は植物性の食物を選択しました。もう2ヶ月近く肉を食べていませんし、乳製品のたんぱく質を口にしていません。だからといって自分をとても厳しく制限しているわけではありません。結構たっぷり、いろいろ食べていますよ。穀物、クルミ、オイル。私には十分です。

何か不足するときは缶のビタミンがありますからね。お客さんたちには私の体が良い方向に変わったことが分かったと思います。これは植物性の食品をベースとする食生活のおかげでしょう。人としてより幸福になったと感じています。私の理解ではこれは自分を大事にすること、自分の理性、体、スポーツ、取り巻く環境を大事にすることにつながります。

カナダにいる間は、こういう言い方ができるなら、私はほぼ完ぺきなヴィーガンです。カナダで肉や動物性たんぱく質を断つのはロシアにいるときよりずっと楽にできます。カナダではヴィーガンはずっと発達していて、あらゆる食べ物に関してヴィーガンのための代用食品があるんです。」

「すいません、規則ですから」と言われてバスに乗れなかった

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スポーツ選手としてメドベージェワは何度も日本にきており、たくさんの友達を作り、行きたかったところはほぼ全部回った。富士山こそ、まだ登ってはいないが、その機会にめぐまれたとしても、自分の足での登山にはならないだろう。ただし、こんなに日本びいきのメドベージェワでもなんとも理解しがたいこともある。

「日本は落ち着きがあり、まとまりと均衡のあるところが興味深いと思います。ここに暮らす人びとにはつまらないものなど何もないのです。どんな詳細もとても大事で、何もかも徹底して、整然と美しく行われる。ただ時々、ここのルールはあまりに厳しすぎるという気がします。こんなことがあったんですが、スーツケースを転がしてシャトルバス(編集部注:さいたまアリーナと選手の宿泊場所を往復するバス)に向かっていた時の話です。バスに近寄り、参加証明書を提示し、スーツケースを持ち上げて、さぁ、乗り込もうとした瞬間、目の前でドアが閉まって、バスが出てってしまったんですよ。車掌さんにバスを止めてくださいと頼むと、もう出るからというんです。『あなたは遅れました。発車時刻は12時30分ぴったりですから』と。だって私、ほとんどバスに乗りかけていたんですよ! 『すいません。規則ですから』というのが答えでした。こういうことは理解しがたいです。ここでは時刻表は秒刻みなんですよ。」

メイクなしの自分もいいなぁ、と思ってます

ずっと前のインタビューではメドベージェワは自分の外見に手厳しく、メイクやマニキュアなしで外に出るなんてできないと語っていた。 

「今はメイクなしの自分のほうがずっと好きです。どうしてそうなのか、それはわからないんですけれど、もしかしたら、今の私を美人だね、きれいだねとか言ってくれる人達に囲まれているかもしれません。よく『ワォ! 今日、めちゃくちゃきれいだね。リフレッシュしたんでしょう』と声をかけられます。今、そばにいる人達は私に女性としての自信を与えてくれるんです。これも私をずっと幸せな気持ちにしてくれました。前は、朝、目が覚めて鏡を見ると、いやだぁ、ファンデーションはどこ? と思ったものです。でも今は起きて、顔を洗って、髪をとかすと鏡を見てこう言えるんです。今日はメイクはやめよう。きれいな顔しているもの。昨日はお休みでしっかりリフレッシュしたからって。」

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