読売新聞が伝えたところによれば、北極海を航行する日本の船には、海面をモニタリングし、氷の厚さを測ってくれるレーダーが搭載されることになるという。これらのデータは衛星から送られ、最も安全で最適で、エネルギー効率のよいルートを商業船が通れるようになる。これはつまり、日本が、北極海航路を、物資の輸送経路として利用することを意味する、と読売新聞は結論づけている。
ロシアの最新砕氷船「イワン・パパニン」は、その船のスペックによって、海外メディアの注目を集めている。
「イワン・パパニン」は1.7メートルもの厚さの氷を砕くことができ、対空ミサイルコンプレックスを有し、大砲も発射できれば、レーダーシステムおよび天候予想の機能も備えている。「総合造船コーポレーション」のゲオルギー・ポルタフチェンコ取締役によれば、これは軍艦であるが、軍用でない目的のために建造された。この種の不意根の第二弾は、2024年に完成する予定になっている。これらの船は、世界最大規模のロシア海軍の仲間入りをすることになる。
なぜ北極圏がここまで注目を浴びるようになったのか?
世界中の多くの専門家は、そう遠くない将来、北極海航路がスエズ運河やパナマ運河、マラッカ海峡といった航路のライバルになるだろうと予想している。BPやエクソンモービル、シェル、ガスプロムといった石油メジャーによって行なわれた調査では、まだ発見されていない、世界のおよそ3分の1の石油とガスは北極圏に眠っているという。また亜鉛や錫、金、ダイヤモンド、希少な鉱石もそこにあるとみられている。
北極圏は資源獲得競争の場になるのか?
もし専門家らが指摘するように、20~25年後に北極海航路がペルシャ湾のようになるなら、かつてのアラスカのクロンダイクに人々が金を求めて殺到したように、北極圏も資源獲得競争の場になるのだろうか。
北極評議会では国際協力や環境保護に関する問題がおもに討議されている。しかし今年5月に行なわれた北極評議会の場で米国のポンペオ国務長官は、米露中による地政学対立、商業ルート確立と資源獲得競争が先鋭化しているタイミングで、「北極圏における戦略的協力の新時代が来た」と演説の中で述べた。
米国がロシアに、北極圏における物質的なリソースという意味で遅れをとっていることは米国の専門家たちも指摘しており、もし北極圏で米露が衝突すれば、米国にとって非常にネガティブな結果をもたらすと予告している。元米国軍人で、現在は国家安全保障・外交アナリストをしているLuke Coffey氏は、ネイビー・タイムス紙へのコメントの中で、「戦争のための準備をしているのではない。これは未来のための準備にすぎないのだ」と話している。
ロシアの北極南極評議会の会員、イーゴリ・チェルヌィシェンコ氏はスプートニクとのインタビューの中で「北極圏は、理性的な観点から言えば、軍事衝突に適する場所ではない。ロシアは北極圏で軍事化するよう追いやられているが、これはロシア国境でどこでも行なわれている、軍備近代化・刷新の一環にすぎない。結果として北極圏におけるロシアの軍事潜水艦の数は、むしろ減っている」と話している。