小さな国シンガポールはF-35を得て、アジアのパワーバランスに影響を及ぼせるのか

シンガポールは2020年1月上旬、アメリカで12機のF-35Bを予備エンジン、部品、電子機器、設備、シミュレーターなど必要な機器とあわせて取得する承認を得た。契約価格は27.5億ドルである。
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シンガポールのウン・エンヘン国防大臣は、最新の航空機はシンガポール空軍が60機所有する戦闘機F-16を徐々に置き換えるためのものであると強調した。しかし、これは戦闘機の更新だけの問題ではない。シンガポールがこれらの航空機を取得することは南シナ海地域、ひいてはその枠を超えて軍備バランスを変える可能性があるのだ。

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シンガポールは小さいがよく武装された島国であり、軍の兵員は7万2千人に及ぶ。シンガポール空軍は4つの空軍基地に316機の航空機、16の飛行隊、1万4800人の兵員を持つ。現在、シンガポール空軍の攻撃力の基盤をなしているのが40機のF-15と60機のF-16である。ここまでの空軍は大国でもそうそう持っているものではない。

この小さな島国はアメリカやその同盟国と緊密な同盟関係を結んでいる。シンガポールはイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシアとともに軍事協定「5ヶ国防衛取極」に加盟している。また、アメリカも全面的な支援を行っている。アメリカの航空機はシンガポールのPaya Lebar空軍基地に、軍艦はSembawang海軍基地に寄港することができる。アメリカのバラク・オバマ大統領とドナルド・トランプ大統領がこの地域を訪問した際にPaya Lebar基地を訪問したこともシンガポールへの信頼を物語っている。


アジアで最も重要な海峡

シンガポールは東南アジアの極めて重要なシーレーンであるマラッカ海峡の東の出口に位置している。マラッカ海峡は戦略的にも経済的にも、スエズ運河やパナマ運河と並んで極めて重要なシーレーンのひとつであり、インド洋と太平洋をつなぐ主要な海路である。1年間に約5万隻の船舶がマラッカ海峡を通過する。航路は島の南岸に沿って走っており、シンガポールはその上空の空域を支配している。

同地域におけるアメリカとシンガポールのライバルである中国もF-35のような最新の航空機は持っておらず、マラッカ海峡の上空で数の優位を作り出すことはできない(マラッカ海峡は中国沿岸の飛行場を拠点にする航空機の戦闘行動半径外にある)。この地域で戦闘が発生した場合、中国に対してマラッカ海峡は閉鎖され、中国はそれを軍事力でこじ開けることはできない。


長距離航空機F-35

シンガポール空軍は自国の飛行場から遠く離れた場所で行動する準備を進めている。Paya Lebar航空基地には40機のF-15が配備されており、5機の空中給油機KC-130Bもここを拠点としている。Changi East航空基地には20機のF-16と4機の空中給油機A330 MRTTが配備されている。実質的には、戦闘機に対して給油機が紐付けられた航空団である。これにより行動半径は大きく拡大する。

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F-35は空中給油できるのみならず、同盟国の、とりわけアメリカの航空母艦に着陸することもできる。例えば、アメリカのWasp級強襲揚陸艦はF-35の行動を支援することができる。

このようにして、シンガポールが最新の航空機を取得することは、船舶の航行にとって極めて重要な海峡の支配強化だけでなく、南シナ海の戦闘が起こり得る地域に増援部隊を派遣できるという可能性をも意味する。ちなみに、同盟国の航空母艦と組み合わせることで、シンガポールのF-35Bは全く予期せぬ場所に現れることも可能だ。

航空機には地上サービスの展開が必要であるため、シンガポールがこれらの航空機を購入することはアメリカ、イギリス、オーストラリア、日本といった同盟国のF-35にとって、シンガポールの航空基地に拠点を構えたり、同基地でサービスを受けたりという重要な可能性が生まれることでもある。この可能性はアメリカ空軍の空中給油への依存度を減らし、起こり得る戦闘行為を容易にするものである。シンガポールはこの地域におけるアメリカの重要な拠点になりうる。

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