クリカリョフさんは、自分は訓練センターの所長という立場ではあったが、同じ宇宙飛行士同士、上下関係はないと強調する。
クリカリョフさん「日本人宇宙飛行士は、教え子ではなくて、仲間です。私たちはみんな、基本的に同じことをやっています。訓練し、宇宙へ飛び、そして経験を分かち合う。そして再び準備をする。ですから、誰かが先に訓練を終え、誰かが今まさに訓練の途中だったとしても、それは教える人と教えられる人、という風に分けられるものではありません。」
クリカリョフさん「彼らに特徴的なのは、必ず目的を達成するというアプローチです。そして非常にプロフェッショナルなことをやってのけ、結果を残します。日本人との協力関係は、今や個人的な友情へと発展しました。これは長きにわたって続くと確信を持っています。」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士、若田光一さんは、旧知のクリカリョフさんの叙勲のお祝いにモスクワまでやって来た。若田さんは2018年、宇宙飛行士として初めてJAXAの理事に就任した。
クリカリョフさんは、深い信頼関係で結ばれた宇宙飛行士同士が、互いの国の宇宙機関で要職に就くことは、非常に大きな意味があると考えている。
クリカリョフさん「若田さんがJAXAの理事であることはとても喜ばしいです。個人的に培った信頼関係が、ともに問題に対処するときに、より早く、効果的に、そして友好的な雰囲気の中で解決するのを助けてくれることでしょう。」
若田さんとクリカリョフさんの出会いは1993年にさかのぼる。アメリカのヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターで、スペースシャトル搭乗の訓練で一緒になったのだ。アメリカの地では、二人とも同じ外国人同士。そのとき、クリカリョフさんは若田さんに、TBSの記者だった秋山豊寛さん、カメラマンの菊地涼子さんの二人と一緒に訓練していたことを話した。1990年、秋山さんはソユーズに搭乗し、日本人初の宇宙飛行に成功していた。
クリカリョフさんは、令和元年秋の外国人叙勲で受章が決定していた。ロシアからはカーネギー財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長、元サハリン国立大学学長のボリス・ミシコフ氏も、旭日中綬章を受章している。