新型コロナウイルス

隔離生活終了後、我々はひきこもりになりはしないだろうか?

新型コロナウイルス(COVID-19)は、国境封鎖、人々の移動の制限、人が多く集まる場所である学校の休校、公園の閉鎖、劇場の休館、レストランの営業休止などの措置を取らせた。リモートワークが可能な会社は、その大部分が在宅勤務に切り替えた。今、人々は自宅にこもり、非社会化が急速に進んでいる。新型コロナウイルスの世界的な流行が終息し、隔離生活を終えた我々は、日本でみられるひきこもりの状態になったりはしないだろうか。
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ロシアの53の地域で、自主隔離の措置が導入されている。住民には不必要な外出、友人や親戚、特に高齢者との接触を避けるように要請されている。米国では、自粛要請が4月30日まで延長された。スペイン、韓国、オーストラリア、英国、ニュージーランド、その他の多くの国でも厳しい制限が導入されている。一番厳しい隔離生活が導入されたのは、欧州の新型コロナウイルスの「震源地」となっているイタリアだ。

このため人々は、多くの習慣を手放し、自宅拘禁に近い生活を体験している。心理学者らによると、多くの人にとって、外の世界から切り離され、一人で、または家族とだけの四方を取り巻く壁の中で暮らすという今後の生活の見通しは、イライラを増幅したり、あるいは「気が狂う」感覚さえも引き起こしている。しかしその一方で、孤独な生活に満足している人たちもいる。

ひきこもりの生活を送る人(ヒッキー)は、社会生活を自発的に放棄し、個人的・社会的な要因から極端な孤立生活を求めているケースが多い。ひきこもり状態の人を持つ家族は、彼らを「まゆ」から引き出そうとしたり、何とかして治療しようと試みる。しかし、ひきこもりは病気であるとは限らず、極端な形での現実逃避であることが多い。ひきこもりの人の多くは、自分のライフスタイルにかなり満足している。2019年の日本の内閣府の調査によると、40〜64歳のひきこもりの人は全国で61万3000人、15〜39歳では54万1000人。

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遅かれ早かれ新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は終わり、多くの人が自主隔離生活を終えることになる。しかし、隔離生活を送った人々はその後、社会不安障害ではないとしても、日本のひきこもりのようになりはしないだろうか?実践心理学センターのセルゲイ・コリュチニコフ所長は、スプートニク通信社からの取材に以下のように答えている。

「ひきこもりという現象にある決まった見方はない。しかし、ひきこもりでは自分自身が壊れていくことはない。ここが隔離生活と異なる点だ。彼らは意識的にひきこもりを選んでいる。私の考えでは、この隔離生活はあまりにも過剰な措置だ。同時に、私たちは今、オンラインの生活に積極的に、またアグレッシブに移行していると言ってもいいだろう。少し前までは子どもたちを何とかしてガジェットから引き離そうとしていたが、今ではオンライン授業が徐々に始まっている。診療、講義、ワークショップ、その他多くの事柄もオンラインで行われるようになったが、流行の終息後に元のオフラインの生活に戻るかどうかはわからない。そして何より、人は誰かとの関係を必要としている。もちろん、終息後に人々はひきこもりになりはしないが、不安、恐怖、疑心暗鬼、互いへの不信感などの感情はしばらく残るだろう。」

一方、心理学者のリリヤ・アフレムチク氏は、人は孤独にすぐに慣れるだろうと語っている。

「誰もが時折、孤独を必要としている。孤独は自由、他人からの独立、時には幸福感さえも与えてくれる。その一方、長期間の孤独は、人格破壊、深刻な心的外傷、周囲との軋轢にもつながる。日本の心理学者が引きこもりを力ずくで引っ張り出さないように勧めるのにはわけがある。なおこれは、自発的にひきこもりを選んだ場合ではない。隔離生活とは、必要な措置であり、多くの人が理解を示す。しかし、社会と断絶した生活が長くなると、それは人間の精神に影響を与え、あらゆる自由が制限されたときと同じように、必然的に不快感が生じる。もし隔離生活が長引けば、うつ状態が増加すると専門家らは予測している。これを避けるためには、自主隔離生活を罰と捉えるのではなく、自分と向き合う機会や、自己啓発の促進と考えるべきだ。」

また、心理療法士のキリル・シャルコフ氏は、現在のオンライン生活にもプラスの面があるとみている。

「全てはこの危機がいつまで続くかにかかっている。1ヶ月、2ヶ月、それとも1年なのか。オンライン上でのやりとりは、対面での交流の良い代替手段だ。この方法は個人の社会環境との接触を維持できるツールなので、個人が隔離生活に完全に飲み込まれてしまうわけではない。今回のような流行が数世紀前に発生した時、人々は互いにコミュニケーションを取る方法を持っていなかった。また、感染を撒き散らしてはいけないという理解もなかった。でも今、我々はその両方を持っている。したがってオンラインは我々を多いに助けてくれる。なぜならこのオンライン上で、人間が必要とするほとんどのことが実現できるからだ。また、この生活は、普段忙しく過ごす我々のペースを少し落とすことができるチャンスでもある。」


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