コロナウイルス感染症患者が搬送されるモスクワ市立第52病院の医師はマスコミの取材で、医師は前線で日々12時間奮闘しており、休みはなく、食堂や自動販売機に行く余裕はない、と語った。
初めて緊急シフトに入った看護師がインスタグラムに現場のルールを紹介した。
「“汚染地域”で作業する者は皆、次の武装をする。外科用上下衣服、上から防護服、保護メガネ、マスク、2重手袋、ゴム長靴、さらに靴カバー。患者に対応する際はさらにもう1枚、上から滅菌手袋をつける(そして3重手袋でどうにか静脈にカテーテルを入れる)。汚染地域では上に挙げたセットのどれも外してはいけない、ということはつまり、飲食やトイレは不可能で、時には呼吸も苦しくなることも。1日に2回、エアーシャワーを通ってクリーンエリアに行くことが義務付けられているが、それでも大変辛い」
この看護師によると、休憩できたのは1回だけで、その後は17時間休みなく連続で勤務したという。
モスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルク、リャザン、クラスノダール、その他都市の医療関係者は同じような状況にあるという。
レストランと一般市民が医師の悩みに反応
3月初旬頃から、モスクワの複数レストランが医師らを支えようと、無料で食事を用意して届けることを決めた。この取組みはSNSで大きな反響を呼び、すでに多くのレストランがモスクワ市内の10を超える病院、ペテルブルク、エカテリンブルクなどの5つの病院にサポートを行っている。医師らにはコーヒー、パスタ、ピザ、バーガー、シャシルィク、スープ、デザート、ヨーグルトが届けられている。これらは医師の現場にできるだけ近い場所に届けられるよう、包装も工夫されている。“供給者”として大手レストランから小規模飲食店まで多くの飲食店が参加している。
マクシム・ドロフェエフ
レストラン「 Zames」オーナー
ダリヤ・ソニキナ
キッチン「ダーシャのピロシキ」創設者
「親戚から私に5000ルーブル(約7300円)の送金があり、『感染症病院に食事を作って届けて欲しい』と頼まれたのがきっかけです。食事を用意し、ボランティアの仲介者を探して、その人を経由して病院に食事を届けてもらいました。このことをSNSに書き込んだところ、『私からもお願いする』という反応があって、思いがけず大きな運動となりました。『お医者さんのために』とコメントをつけてアプリ経由で私に送金する人が増えています。」
ネリー・コンスタンチノワ
ホールディング「Novikov Group」広報部長
コンスタンチノワ広報部長によると、その後、傘下の他のレストランも複数の病院と連絡を取り、食事を届けているという。
ハトゥナ・コルバヤ
グルジア(ジョージア)レストラン「 サペラヴィ」「ヴァイ・メ」などオーナー
「私と夫、そして友人で、何か医師の助けになりたいと思いました。こんなことになるとは誰も予想できず、病院の仕事はどんどん増える一方ですから。1日12時間働いて、食事もトイレも着替えもできない。考えるだけでとても辛いです。ビジネスも経済も今はどん底に向かっていて、元通りになるには少なくとも1年はかかるでしょう。それでもお医者さんは私たちの未来を救おうとしている、この姿にとても感動しています。現在、食材提供者として17のパートナーがいますが、病院のためならと無料で提供してくれています。多くの人が私たちにお金を送ると申し出ていますが、お金は要りません。そうですね、食材を送ってくれたほうがいいですね。調理して、病院に届けます。」