プルシェンコへ移籍決意のトルソワの心情 スポーツ心理学者が解説

スポーツ心理学者のワディム・グーシン氏は、このほどフィギュアのアレクサンドラ・トルソワ選手(15)がエテリ・トゥトベリーゼ一門から去った原因と、トルソワ選手がエフゲニー・プルシェンコ氏のアカデミーでトレーニングを開始する理由について、自らの考えを「スポーツ・デイリー」のインタビューで語った。
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「彼女は競争に耐えられなかった」

グーシン氏の考えはこうだ。

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「フィギュアのキャリアが上がらない状態では、彼女の心中は穏やかではないだろう。ある時点ではトルソワはシェルバコワやコストルナヤをリードしていた。トルソワはジュニアの世界チャンピオンで、誰よりも優れていた。(中略)その後、(同じ門下生の)ライバルが彼女を倒した。」

グーシン氏によると、トルソワはトゥトベリーゼ門下のプリマ(バレエ団の最上級の主役ダンサー)ではない。このことがトルソワを傷つけていた。

「これは心理学で言うところの『(私は)唯一の存在じゃない。(私に)しかるべき注意が注がれていない』という状態だ。メドベージェワもそうだった。」


「トルソワはどこへ? プリマになれるところに」

グーシン氏はプルシェンコについて「コーチを務めたことはなかったし、この先もない。彼はマネージャーだ」と分析する。

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「偉大なアスリートだからといって、即コーチになれるわけではない。全てのスポーツにおいて最高のコーチというのは元スター選手ではなく、中レベルの選手だった。プルシェンコはフィギュアのスーパースター。彼は決して偉大なコーチにはなれないだろう。」

グーシン氏は、トルソワのケースでプルシェンコの行動戦術を「スポーツ上のジャッカル」と評した。

「彼は、有望な選手が(トゥトベリーゼ・チームから)『今にも落ちそうになっている』のを見ている。自分(のグループ)にはそんな選手はいない。なんとか手に入れたい。」

「トルソワがいく先では『ここでは一番はおまえだよ。みんながおまえをとりまくよ』という状況が約束される。これをプルシェンコが作り出すのだ。」


トルソワの離脱はトゥトベリーゼにとって損失か?

トルソワ移籍は確かにスキャンダルだった。だがグーシン氏は、これによって出来上がった状況はスポーツにとっていいことだと指摘する。

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「『ジャッカル』という言葉に表されたような状況があったとはいえ、プルシェンコ一門に移籍したことで、トルソワには新しいチャンスが与えられたと思う。新たなコーチらにつくことで、ひょっとして何かを得るということがあるかもしれない。」

しかし一方で、トルソワが成功を収めるとは全く保証されていないとグーシン氏は指摘する。

トゥトベリーゼはいみじくも語っている。『私から去った者は皆倒れた』と。これも事実だ。今のところトゥトベリーゼのグループが世界1なのだから。(中略)トゥトベリーゼ一門はトルソワの離脱で戦士を1人失ったが、軍を失ったわけではない。」

最後にグーシン氏はこう締めくくった。

「プルシェンコのグループには、トゥトベリーゼ一門のような競争がない。熾烈な競争とその不在、どちらがいいのか。これをトルソワは理解する必要がある。」


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