内政
ストレリツォフ教授は、菅内閣の今後の内政について次のような見解を表している。
「日本の新首相が負う課題は、世界の地政学的不安定状況の中でこの先の日本の正常な復興と経済発展を図るに足る経済成長の速度を保障することにある。これに加えて、世界に共通するコロナウイルスのパンデミックとの闘いと、日本の失業率の増加や企業収益の減少の中での給与カットなど、日本の社会に現れた悪影響もある。菅新首相にとっては社会面でのこうした現象との取り組みが第一の基本課題となる。」
「菅氏は就任初日から最大限効率のよい働きを見せねばならない。なぜならまた1年後には自民党総裁選びがあり、首相選びも行われるからだ。首相の支持率が一番高いのは普通就任したての時期で、その後、徐々に下がっていく。このため菅氏の課題は就任1年目で支持率を使い果たさないことだ。」
外交
ストレリツォフ氏は、日本では今、自律的な、より独立した攻めの外交を求める声が強いとみており、このため菅氏は安倍氏が率いた外交路線をそのまま引き継ぐものと予想している。
「日本は安全保障では独自のプロジェクトを積極的に推し進め、経済統合では安倍氏のもとですでに始動している環太平洋パートナーシップ路線を続けていくだろう。日本はまた、二国間協力、多国間フォーマットの協力関係も拡大していくと思う。それでもやはり最優先は依然として日米関係の強化となるに違いない。なにしろ米国はアジア太平洋地域における日本の主たる戦略的同盟国であり続けているからだ。」
ロシアに関しては菅氏は安倍氏から、長い間未解決のまま放置されている日露関係の再フォーマットという極めて複雑な課題を遺産として引き継いでしまった。ストレリツォフ氏は、日本の世論はロシア路線に関しては、菅氏の前任者の政策に深い失望感を味わっていると指摘している。
9月16日に召集される臨時国会で、健康問題で辞任する前任の安倍氏に代わる総理大臣の指名選挙が実施される。国会の大多数の議席を占める自民党、公明党の議員の票により、菅氏は予想通り勝利をおさめ、内閣を率いる立場を手に入れるはずだ。菅氏はすでに前任者の政治路線を引き継ぐ考えを表している。