これはリーマンショックの影響でGDPが5.7%減少した2009年以来の落ち込みである。2020年と2009年の危機は、規模は似ているものの、原因はまったく違う。
今回の危機に対する財政政策は前回とどれだけ違うのか。そして、どうして違うのか。スプートニクが専門家に聞いた。
危機であることは同じだが、原因が違う
日本経済にとってこの危機は「偶然の外傷」のようなものであり、病後の回復もずっと容易だとチモフェエフ氏は言う。
例えば、GDPの落ち込みの大部分はすでに回復していると語る。「2020年10-12月期の日本経済は前期比3%の成長を見せました。このデータは、日本がコロナ危機を上手く乗り越えようとしていることを物語っています。しかも、日本銀行が何かものすごく特別な取り組みをした訳ではないのです。」
目的は同じだが、支援を届ける先が違う
現在、政府が主に取り組んでいるのは、まずなによりも小規模企業の「失われた」売上を補填することであり、困難な感染状況の下で失われた国民の購買力を回復させることである。
危機は、未来の合併症に対する予防接種?
雑誌「エクスペルト」の金融アナリストで経済解説員のアンナ・コロリョワ氏は、日本は今回の危機を他国よりも上手く乗り切ろうとしていると語る。「日本政府は前回の不況時に経済の困難を乗り越えるための良い「免疫」を獲得しました。政府はこれまでの危機でも国民への直接給付金を支給したことがあり、国民への支援策を十分に確立させていたのです。しかし、パンデミックはまだ終わっていません。ですから、政府が最終的な損失を計算するのは、まだこれからです。」
日本の内閣は、コロナ禍のあらゆる不可抗力を織り込むべく、2021年度は過去最大となる1兆ドルの予算案を承認した。Nikkei Asiaが伝えたところによると、このうち5兆円は、世界的な医療危機への将来の対策のため、予備費として計上した。
一方で、日本の旧来の問題(急速に進む高齢化など)もまた、医療費や年金支出を増加させている。そのため、新年度予算では社会保障費が約4800億円増加する見込みだが、政府は薬価の引き下げなどの措置により、この増加分を3500億円に抑える可能性がある。
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