ネット上の匿名性にピリオド
閣議決定された改正案では、SNSなどで、侮辱や名誉毀損、誹謗中傷にあたる匿名の投稿やコメントを書き込んだ人物について、個人情報を速やかに開示するための新たな裁判手続きが行われることが定められている。これまでは被害者が投稿した人物を特定するための訴えを起こすと、SNSの運営会社と投稿者が利用する接続業者のそれぞれに対して裁判の手続きが必要なため、時間がかかることが問題であったが、この課題が解決されることとなる。
誹謗中傷する者との戦いなのか、反対意見をもつ者との戦いなのか
社会はこうした問題があることを認めてはいるものの、今回の改正案については、誰もが肯定的に捉えているわけではない。SNS上のニュースへのコメントでは、多くのユーザーが、裁判所が判断を下すにあたり、偏向や主観に左右される可能性があると指摘しているほか、個人的な申し立てをすべて検討するのは困難だという声も上がっている。
以下、ツイッターに書き込まれたコメントをいくつかご紹介したい。
「中身をしっかり詰めて法制化しないと、都合よく恣意的運用されかねないから怖いよね。今の自公政権みたいな権力者集団が幅をきかせてると尚更」
一方、改正案を支持する人も多い。
「オンでもオフでも誹謗中傷はいかん。どんな人に対しても私的制裁はダメだ。オンなら、匿名なら公然と私人の悪口言って良いと思ってる人達にこのニュースが届けばいい。」
「誹謗中傷をしたこともない人たちを一方的にエゴサーチしてブロックしていながら、テレビでは「誹謗中傷された場合にブロックしている」などと嘘を吐いてる河野太郎がNo.2で、メディアコントロールも出来てる今の政権で、こうしたことが閣議決定されると、本当に大丈夫なのかと思ってしまう。」
改正案は今のところ、まだ書面の上に存在するだけであり、その有効性を評価することはできない。この改正案が実際に機能し、匿名の人物の情報が開示されるときを待ちつつ、この方策がネットの誹謗中傷の被害にあった人々を助けるものとなることを願わずにはいられない。