スプートニクは、世界で最も重要な原子力発電所プロジェクトをいくつか振り返り、どのような安全措置が使用されているのかを紹介します。
トルコ初のアックユ原子力発電所 ロスアトムとの共同プロジェクト
トルコ初の原子力発電所であるアックユ原子力発電所プロジェクトは、2010年5月にロシアとトルコの間で締結された政府間協定に基づき、アックユ・ヌクレアル社が実施している。2020年6月、同原発の2号機の建設が開始。2021年3月10日には、プーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が3号機の着工式にオンラインで参加した。
アックユ・ヌクレアル社は、アックユ原子力発電所における全ての設計に関する決定事項は、国際原子力機関(IAEA)の安全基準、国際原子力安全諮問グループおよび欧州電気事業者要求仕様(EUR)の要件に定められている世界の原子力コミュニティの最新の要件を全て満たしていると発表している。
アックユ原子力発電所は、「最も現代的で安全な」原子炉VVER-1200(ロシア型加圧水型原子炉)を使用している。このタイプの原子炉は、1990年代から2000年代にかけてイランのブーシェフル原子力発電所、インドのクダンクラム原子力発電所、中国の田湾原子力発電所、ロシアにある多くの原子力発電所など、海外の顧客向けに作られたVVER-1000型をベースに開発された。
同原子力発電所の発電量の最大出力は4800 メガワットで、完成すれば年間約350億キロワットアワーの発電量が見込まれている。
中国の福清原子力発電所
中国は2020年末、同国が開発した第3世代の原子炉「華竜1号」を採用した福清原子力発電所5号機の商業運転を開始した。同原発の建設が始まったのは、2008年のこと。
華竜1号には、複合安全システム「能動+受動」が採用されている。
この「能動」とは、原発の運転を確保して安全システムを電気で制御することを意味する。そして原発が故障して電気が使えない状態になった場合には、「受動」システムが役に立つ可能性がある。「受動」システムは、自然の力を利用して安全システムが作動するように設計されている。例えば火災時には、水の入った容器を重力で上から注水させることで、エネルギー源がない状態でも安全性を確保することができる。
アラブ諸国で初となるバラカ原子力発電所
アラブ首長国連邦のアブダビから250キロ離れたところにアラブ諸国初のバラカ原子力発電所がある。2020年7月、1号機の操業が開始。8月1日には同国政府がその操業開始を発表し、8月19日には送電が成功している。バラカ原発は4基全てが稼働すれば、同国が必要とする電力の25%を60年間供給できるようになる。
同原発は、韓国電力公社(KEPCO)が開発した改良型加圧水型原子炉「APR-1400」を使用している。APR-1400は、韓国標準型原子炉のOPR-1400(最大出力は995メガワット)をベースに開発された。このOPR-1400は韓国の原発の中核をなす存在。
世界初の浮体式原子力発電所 ロシアの北海に登場
2020年5月22日、世界初となるロシアの浮体式原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ」が商業運転を開始した。この原発は最新の安全システムを備えた原子炉「KLT-40S」が使用されている。また、この原子炉は作業員が関わることや自動化に頼らない受動的な運転原理に基づいている。
同原発はあらゆる脅威を凌ぐことができる安全マージンが確保されており、原子炉は津波などの自然災害に対して頑丈なものとなっている。また同原発は20%以下という低濃縮の核燃料を使用している。
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