中国抑止に向けた米国の課題を複雑なものにする日韓不和

先週、日本、韓国、米国の外交および国防担当機関の代表による協議が複数行われた。主要なテーマの一つとなったのは対北朝鮮政策であるが、半導体やバイオテクノロジーのサプライチェーンについても意見が交わされた。これは、米国が現在、中国に対し貿易制限措置を取っている、中国との競争が激しい部門である。
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米国がこの問題にこれほど大きく注目しているのは、米国が地域の同盟国(日本および韓国)とともに、中国を抑止するための新たな共同戦略を構築する可能性があることを意味している。

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しかし、今回の協議の内容は矛盾した事実を伴うものとなった。というのも、米国が(トランプ政権時代に)中国との貿易戦争を始める前に、日韓の外交関係はすでに緊張状態となっていたからである。そのきっかけとなったのは、日本が韓国に対し、マイクロエレクトロニクス生産のために必要な資材の供給に制限を課したことである(2019年夏)。

つまり、テクノロジー分野における中国の指導的立場を弱体化させることを目的として、共同して反中戦線を構築するためには、まず韓国に対する日本の貿易制限を解除することが求められているのである。「スプートニク」は、3カ国がこの共同戦線を張るにあたり、何が障害となるのか、あるいは逆に何がこれを寄与するものとなるのか、分析した。

日本と韓国の貿易分野における「不和」の大きな原因となったのは、フッ化水素(エッチングガス)。韓国国内でのフッ化水素の主な供給者となっているのは、韓国最大手のサムスンである。

日本が韓国に対し、厳しい制限措置を講じた理由は、両国の間に残されている意見の対立(共通の歴史的過去に関するもの)にある。2018年、韓国では日本製鉄と韓国の鉄鋼最大手POSCOの株が差し押さえられた。これは、第二次世界大戦中の強制徴用被害者への慰謝料の支払いを企業側が拒否したからである。

日本はこうした決定について、きわめて非友好的なもので、かつ根拠のないものだとの立場を示した。というのも、日本政府はすでに慰安婦に対する賠償金を支払ったからである。その際に、両国は今後はこの複雑な問題を蒸し返さないことで合意に結んでいた。

韓国がこの合意を反故にしたことにより、日本は2019年7月、半導体の製造に使われ、電子機器を構成する3つの材料(フッ化水素を含む)の輸出国に対するホワイト国のリストから韓国を削除した。

現代世界におけるフッ素の価値

あらゆるスマートホンや電子機器の中には、細かい電子部品や集積回路がたくさん載ったプリント基板というものが入っている。フッ素化合物は、微細な回路を加工する工程で不要な部分を溶解させたり、回路の溝付けを行うのに使用される。

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その後、一定の期間、韓国のメーカーは、日本の代替となる供給国を探しつつ、備蓄していたフッ化水素を用いていた。その代替国にはロシアも含まれていたが、どの国も、日本に代わるものとはならなかった。しかも、隣国である日本からのフッ素供給は、輸送も簡単でコストも低く抑えることができる。

これに関連し、専門家のロマン・ロボフ氏は、しかし結局のところ、韓国がフッ素の供給国を変更する必要はなくなったと推測している。「というのも、ホワイト国リストから削除したとしても、それは日本が韓国にこれらの材料をまったく供給しなくなるというわけではないからです。逆に、韓国のメディアは、日本は何度となく、韓国向けのフッ化水素の輸出量を引き上げたとも伝えています(2019年12月)。ホワイト国リストは輸出の手続きを簡素化できる国のリストであり(特別な輸出入申告を省くことができる)、このリストから削除されても、単に事務手続きの条件が複雑になるだけだからです」

しかし、専門家は、「政経分離」の原則(日本と韓国の二国間関係の原則の1つとなった)はその真価を問われていると指摘する。「とりわけ、日韓自由貿易協定についての話し合いは、結局、結果が出ないままとなっています。しかし、マイクロエレクトロニクスのためのフッ素の供給に日本が制限を課したことは、韓国の政治界にもビジネス界にも衝撃を与えました。日本が韓国に対して経済的な圧力を加えるというのは、過去何十年の中で初めてのことだったからです。しかもその措置は、両国間の歴史的、政治的な立場の相違とはかけ離れたテクノロジー分野に関するものだったのです」

米国のバイデン政権は、韓国と日本を交渉の席に再び着かせるための試みを再開した。とくに、米国指導部は、これについて、北朝鮮と中国の「脅威」を抑止するためには、米国、韓国、日本が外交において緊密に連携することが必要だからだとの論拠に立っていると専門家は指摘する。「日韓対立の問題については、ブリンケン国務長官の韓国訪問の際に詳細に話し合われた可能性もあります。しかし、おそらく日本は韓国側からの慰安婦問題を政治家するのをやめるよう主張しているでしょう」

このように、今後、日韓関係が正常化するかどうかについては、バイデン政権の下でも依然、非常に不透明である。

最近、アナポリスで開かれた米国のジェイク・サリヴァン国家安全保障担当大統領補佐官と北村滋国家安全保障局長および韓国の徐薫(ソ・フン)青瓦台国家安保室長との3者会談は非公開となった。

しかし、地域の同盟国に対し、歴史に関する問題に距離を置かせようとする米国の提案は間違いではないだろう。そしてその注意と努力は何よりも、北朝鮮の核開発プログラムと中国抑止に焦点を当てたものなのである。

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