公会議「ロスアトム」のメンバーで、ロシア環境政策センター理事会のメンバーでもあるワレリー・メンシコフ氏は、「チェルノブイリ事故の後、世界では原子力エネルギーの安全に関するコンセプト全体が見直されるようになった」と述べ、次のように語っている。 「原発の構造、原子炉物理、作業員の訓練、法的文書、すべてにおいて新たな規定が作られ、それらすべてが絶え間なく改善されています。スモレンスク原発、クールスク原発、レニングラード原発では現在でも、チェルノブイリ原発と同型の黒鉛減速沸騰軽水炉圧力管型原子炉(RBMK)が稼働していますが、この間に、安全システムは改善、改良され続けています。しかもこれらの原子炉もまもなく稼働を終了することになっています。原子炉の制御が不能になり、放射能汚染が起き、人々が被曝するというような事故が起きることはもうないでしょう。また事故発生を隠蔽することも今では不可能です。現在はさまざまな方法、さまざまな機器でチェックが行われています」。
ロシア国立原子力研究所核物理学技術研究所のゲオルギー・チホミロフ副所長も、チェルノブイリ原発事故のような被害を出す事故は今では起こりえないと指摘する。
一方、トムスク工科大学の研究センター「研究核原子炉」のアルチョム・ナイムシン所長は、チェルノブイリ原発事故のような事故が繰り返される可能性は限りなく低いものの絶対にないとは言えないと述べている。
「世界には192の原子力発電所があり、およそ450基の原子炉が稼働しています。そのうちの大部分がチェルノブイリ原発事故以前に建設され、稼働を開始したものなので、当然、チェルノブイリ事故の経験は考慮されずに作られたものです。しかし、この30年の間に、世界でも(IAEAの基準)、ロシア国内でも安全基準は大幅に厳格化されました。現在、原子力発電所の安全対策は多重防護となっており、また設計から廃炉まで、核原子炉のライフサイクルのすべての段階で監査が行われています。原子炉格納容器や新たな防護対策の導入により、チェルノブイリのような事故の再発の可能性は除外されています。しかし、福島原発事故のように、まったく予想外の要素が組み合わされることによって、大規模な事故が再び発生する可能性は、限りなく少ないとはいえ、絶対にないとは言い切れないと思っています」。
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