加谷氏の記事の概要は次のようなものである。日本の経済が他の国に比べて成長できなくなっている主な理由は、製造業がグローバル化とIT化の波に乗り遅れ、国際競争力を失ったことである。しかし、豊かな消費市場が育っている先進国は、輸出競争力が低下しても国内消費で成長を継続できるケースが多い。実際、米国やイギリスは、製造業の衰退後も内需を原動力に高成長を続けている。日本では国内消費の低迷が続いており、これが低成長の元凶となっている。
また加谷氏は、国内消費の低迷の理由が消費増税が原因であるとの指摘を否定し、高い消費税率の欧州各国では経済が順調に成長していると指摘している。日本だけが消費を拡大できない理由は、長年、謎とされてきたが、経済学と脳科学を組み合わせた学問の発展による研究成果を引き合いに出し、日本では何か新たな技術やビジネスが誕生するたびに声高な批判が寄せられると指摘している。成功者は基本的に妬まれるので、自身の経験を積極的には他人に語らず、成功のロールモデルも共有しにくいが、また多くの日本人は「他人の足を引っ張る人が多く」、これでは消費経済が活発化するわけがないとの見解を示している。
この記事の見解について、「スプートニク」が取材した情報分析センター「アルパリ」の主任アナリスト、アンナ・ボドロワ氏は、「国内消費が拡大しない理由は謎などではなく、昔からはっきりしています」と指摘する。
一方、ロシアの社会学者、エヴゲニー・タタリンツェフ氏も記事の筆者には同意できないと述べている。タタリンツェフ氏は、日本は集団主義の民族であり、集団意識、互いへの忠誠、意見の一致が尊重されていると指摘する。「他人の成功は、それが学術であれ、ビジネスであれ、スポーツであれ、もちろん、すべての人に喜びをもたらすものではありません。しかし、どんな発見、発明、成果にも多くの人々が関わっています。それは、多くの人々がアイデアを出し合い、互いを支え、成功の喜びを分かち合うことであり、けして「足を引っ張り合う」ことではありません。日本に数多くの非営利団体が存在することは、人々が団結し、必ずしもお金では計れない社会の幸福を作り出すことができるということを証明しています」。
サイト、グローバル・エコノミーのデータによれば、2020年、日本の家庭消費は2019年に比べて減少(−3.33%)した。これは、カナダ、スウェーデン、スイスと同等の数字である。