学者たちの間では、ずいぶん前から、金星に生命が存在するかどうかという論争が繰り広げられてきた。
昨年9月、英国と米国の惑星科学者が、金星の大気からホスフィン(リン化水素)が検出されたと発表し、この問題への関心が高まった。
ホスフィンは一般的に不安定であり、地球上では生物に関連するプロセスの結果としてのみ発生する。そのため学者らは、金星のホスフィンも生命に関連していると考えた。
その後、一部の天文学者は、金星の大気中にホスフィンが存在したことを疑ったが、他の学者たちはホスフィンの痕跡を再び検出しようとした。
ホスフィンは再検証で検出されていないため、学者らはホスフィンの検出は偶発的な干渉または測定ミスによるものだと考える傾向がある。
クイーンズ大学ベルファスト校のジョン・ホールズワース氏などの研究チームは、別の角度から金星の生命探索に取り掛かった。同研究チームは、データを再検証するのではなく、ホスフィンの痕跡が検出されたとされる金星の雲にどれだけの水が存在するのかを調べた。
学者らによると、水は極限環境微生物を含む地球上のすべての生物にとって極めて重要。
ホールズワース氏などの研究チームは最近、地球上で最も生命力が強い細菌および古細菌が耐えることができる大気中および溶液中の水の最小濃度を特定した研究チームは、これを基に金星に地球上のような生命が存在する可能性を評価できると考え、火星の雲の水分濃度を測定した。
研究チームは、ソ連の金星探査機「ベネラ11号」、「ベネラ13号」、「ベネラ14号」や、複数の地上望遠鏡が収集した金星の大気のさまざまな層の圧力、温度、その他のデータを分析した。
その結果、金星の雲は非常に乾燥していることが示された。金星の雲の水分濃度は、生命の存在に必要な量の数百分の1だったという。また、火星に関する同様の分析は、火星の土壌水分の割合がこの最小値を超える可能性が低いことを示しており、研究者らは、これは火星で生命を発見する可能性を低くしているとの見方を示している。
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