米軍は8月末、アフガニスタンの首都カブールでドローンによる空爆を行い、過激派組織「イスラム国ホラサン州」(ISIS、IS、イスラム国、ダーイシュ、ロシアで活動禁止)の戦闘員を殲滅したと発表していた。米国防総省のジョン・カービー報道官は攻撃標的に間違いはなかったと表明していたが、この空爆により多くの児童が死亡したことについては、内部調査の必要性を理由に言及しなかった。
これに対しニューヨークタイムズ紙はビデオ映像や、空爆された自動車を運転していた「容疑者」の同僚や遺族による証言をもとに、米軍の判断には疑念が残ると指摘している。
この空爆ではゼマリ・アフマディさんが死亡したが、アフマディさんは長年にわたって米国の人道支援グループに協力していた。空爆の日、アフマディさんは通常業務のため車で移動していたという。
The final act of the U.S. war in Afghanistan was a drone strike in Kabul that killed 10 people. Our latest investigation shows how a man the military saw as an "imminent threat" and "ISIS facilitator" was actually an aid worker returning to his family: https://t.co/eUX5WSImrD
NYTは次のように報じている。
米軍は民間人の死者は3人とだけ認めているのに対し、アフマディ氏の遺族は7人の子どもを含め10人がこの空爆で死亡したと証言している。
アフマディさんは米カリフォルニア州の企業でエンジニアとして勤務した経験を持ち、家族と共に米国への国外退避を要請していたという。空爆時、アフマディさんとその家族は米国政府の退避許可を待っていた。
報道によると、米軍は空爆の日、ドローンでアフマディさんの行動を終始分析していた。アフマディさんの自宅をテロリストの隠れ家と認識していた米軍は、行動分析の結果、アフマディさんが車に積んでいる荷物は爆弾であると判断し、空爆を実行した。しかし、遺族によると、アフマディさんが車に積んでいたのは、家族のために運ぶ水だったという。
アフガニスタンでは8月26日、空港通過ゲートの1カ所で自爆テロが発生し、米兵13人のほか、200人以上のアフガニスタン人が犠牲になった。メディアは、ISISの声明を引用し、空港への爆発は同組織の犯行によるものと報じた。