「日本の芸術の展示を行うというアイデアはかなり以前から温めていたものです。最初は北斎の浮世絵展を開こうと考えていましたが、次第に、もっと内容を広げようということになりました。しかし出展できる作品があまりありませんでした。幸運にもわたしたちは、日本芸術の専門家で浮世絵の収集家で、日本にも長く滞在していたエカテリーナ・プガチョワと出会いました。彼女のコレクションの中に、月岡芳年と今尾景年の作品が含まれていました。そして、プガチョワ氏は、これら、ロシアではあまり知られていない作品を展示するチャンスを与えてくれました。彼女の同意を得て浮世絵をスキャンさせてもらい、音楽を選んで、前もって用意してあったシナリオで、わたしたちのデザイナーが3Dグラフィックを作ってくれました」。
「美人画、武者絵、風景画、花鳥画の4つです。そして締めくくりに、今の日本を映した動画を並べました。今回のプロジェクトを実施するにあたり、わたしたちは細心の注意を払いました。何よりも、作品がアマチュア風にならないよう、そして日本文化のイメージに真に合致するよう気をつけました。加えて、ロシア人に、日本という国をよりよく理解してもらい、近く感じてもらえるようにということにも気を配りました。今回、この点でわたしたちにアドバイスを与えてくれたのが、日本文学の有名な翻訳家で日本文化の普及に貢献しているドミトリー・コヴァレーニンです。オーディオガイドでも参加してもらい、観客に日本の神話やシンボルについて説明してもらっています。コヴァレーニンとプガチョワは、わたしたちにとっての日本文化の世界への案内人となりました。そして観客の皆さんにとっての案内人になってくれるよう願っています」。
「今年、日本語の勉強を始めたのですが、今回の展覧会で日本の漢字の由来について、今まで知らなかったことを知ることができました。動きのある浮世絵からは生きた絵のような印象を受けました。動く画像と音楽、ドミトリー・コヴァレーニンのオーディオガイドのナレーションが合わさり、それが非常に興味深い形で演出されていて、わかりやすく、面白いものになっていました」。
「わたしは日本語の勉強もしていませんし、日本文化についても、アニメや漫画、俳句、ロシア語に翻訳された村上春樹作品など、表面的にしか知りません。しかし、今回の日本文化へのエクスカーションではいろいろなことを学ぶことができました。日本人の自然を大切にする気持ちに驚かされました。素晴らしいプロジェクトでした」。