「効果はあるでしょう。しかし、日本にとっても、米国にとっても、その効果はそれほど顕著なものではなく、またまったく長期的なものではないでしょう。ただ、地域の他の国々も同じような措置を講じる可能性は除外できません。そうなれば、原油価格の安定に向けた状況は改善するでしょう。とはいえ、それもきわめて短期的なものにはなります。しかも、日本のエネルギー自給率が7%前後であるという事実を考慮する必要があります。日本はエネルギーの大部分を輸入しています。つまり、日本経済にとって、エネルギー問題は非常に厳しいものです。ですから、日本が石油の国家備蓄を放出することができるのは、大規模な災害のとき、あるいはその他の非常事態など、本当にそのような措置が必要な際にしか行うことができません」。
「日本はウクライナ情勢によって西側が発動した対露制裁に支持を表明しました。この対露制裁は、エネルギー価格に再び、影響を与えています。米国のバイデン政権は、エネルギー価格を下げるためあらゆる努力をしています。日本の今回の石油備蓄の放出も、まさに同盟国である米国を支持するための方策の一つです。しかし、日本政府のこうした動きはシンボリックな意味合いのものでしかありません。なぜなら、こうした方策によって長期的な効果(原油価格の安定)は期待できないからです。しかし、日本政府は、状況がよくなった後、放出したエネルギーを新たな供給国から補填することで、そうした貢献を果たすことができるかもしれません」。
「そこで、ウクライナをめぐる危機が長期化する中、日本にとっては、それほど大きくないロシア産エネルギーの供給も深刻なものとなる可能性があります。現在、日本は、ロシアから輸入している石油に代わる輸入先の多角化について考えなければならなくなっています。これは西側諸国に共通した政治的な傾向です。日本は、世界経済の主導する国の一つとして、これを無視するわけにはいきません」。