日本最大の水産物市場である豊洲市場では、ノルウェー産サーモンの価格が2月に比べて約30%上昇した。また、カナダ産サーモンなど、他の魚種の価格も上がっている。昨年の赤潮で北海道海域のウニやサケの資源量が大幅に減少したことから、日本市場ではウクライナの出来事以前から、ロシア産ウニが高騰していた。大手外食チェーンとは異なり、中小企業には数カ月分の食材の在庫を持つことも、仕入先や輸送ルートを迅速に多様化することも難しい。一方で、ウクライナをめぐる情勢を理由に、ロシア製品の買い付けを自ら中止する卸売バイヤーも出始めている。
日本がロシアへの貿易上の「最恵国待遇」の撤回を発表したことで、水産物の輸入価格はさらに上昇する恐れがある。岸田文雄首相は3月16日の記者会見で、政府はロシア製品の一部について関税の引き上げや禁輸を検討していると述べた。
農林水産省によると、昨年の日本への水産物輸入のうち、ロシアからの輸入は8.6%を占めた。また、紅鮭、カニ、ウニなど一部の魚種については、ロシアが最大の供給国である。
ロシアが日本との平和条約交渉を中止したことで、ロシア領海での日本漁船の操業は宙に浮いたままとなった。2022年には、南クリル諸島海域で48隻の日本船が、スケトウダラ955トン、サバ777トン、タコ213トン、その他232トン、計2,177トンの水産物の漁獲枠を得ている。日本はそのために協力金2,130万円を支払い、2,110万円相当の機材供与を行わなければならない。この協定は2021年12月27日に締結されている。
ルースキー・ルィブヌィ・ミール社のアレクサンドル・ジンチェンコ代表は、これについて次のようにコメントしている。
「世界の漁業界では、不可抗力が発生しない限り、過去に締結した協定は期限が切れるまで維持されるのが通常です。また、不可抗力により義務を履行できない当事者は、当該事態の発生後3日以内に相手方にその旨を通知しなければなりません。ですから、今回の状況によって、ロシアと日本の漁業協力が妨げられることはないという希望はあります。一方、輸出入については、価格設定が変わる可能性は排除できません。」
ジンチェンコ氏は、「日本の水産市場だけでなく、ロシアの市場も震え上がっている」と付け加えた。とりわけ、多くのロシア人がすでに慣れ親しんだ日本食レストランがそうである。こうしたレストランは、以前から日本以外からも魚介類を買いつけていたものの、日本料理の中には本場の食材がなければ不可能なものもある。