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インドネシアの電力危機は日本を含めたアジア太平洋地域に影響を与えるのか
インドネシアの電力危機は日本を含めたアジア太平洋地域に影響を与えるのか
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... 2022年1月23日, Sputnik 日本
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インドネシアの電力危機インドネシアが突然、石炭の輸出を禁止した理由は、国内の火力発電所における石炭の備蓄量が、国内の電力供給を円滑に行うことができないほどの危機的レベルにまで減少したことである。インドネシア政府は、国内の石炭事業者に年間生産量の25%以上を、1トンあたり70ドル(およそ8,000円)という固定の価格で国内の電力会社などに供給する国内優先義務を課している。2021年11月、アジアの市場における発電用石炭の価格は1トンあたり215ドル(およそ2万4,000円)に達した。世界の石炭価格が高騰する中、インドネシアの電力生産者は、国外に輸出した方がより大きな利益を得られるとして、国内優先義務に従わなかったことから、インドネシアは電力供給の崩壊の危機に瀕することとなった。2021年には、国内企業634社のうち、この国内優先義務を遂行した企業はわずか15%にとどまった。これにより、2021年8月、インドネシア政府は34の鉱山会社に対し、石炭の輸出を禁止した。その後、1月13日に政府は国外への供給を再開したが、国内市場での石炭の確保が優先課題であると警告を発した。アジア太平洋地域での石炭の需要は高いインドネシアの石炭を輸入する国々はこれに対し、素早い反応を見せた。フィリピンのアルフォンソ・クシ エネルギー大臣は、インドネシアに対し、こうした政策は、電力生産を石炭に大きく頼っている国々の経済に損失をもたらすと述べ、石炭の輸出禁止を撤回するよう求めた。オーストラリアからの輸入が非公式に禁止されたことを受けて供給先をインドネシアに転換した中国も深い懸念を示した。国内での石炭生産量も多い中国であるが(およそ3億7,000万トン)、インドネシアからの供給量の減少を補填することは、中国にとってかなり厳しい問題である。一方、日本政府もこうした状況に懸念を表し、インドネシアの国内発電所では高カロリー石炭は使用されていないとして、禁輸対象から除外するよう要請した。また1月10日、萩生田光一経済産業大臣は、インドネシア政府の5人の大臣と会談し、輸出禁止措置の早期解除に向けた協議を実施した。一方、世界で石炭の需要は低下しており、ますます多くの国で脱炭素社会の実現に向けた動きが加速化している中、アジア太平洋地域では、石炭の需要がかなり高く、分析センター「オトクルィチエ」金属部門のダニイル・カリモフ部長は、世界の専門家の評価によれば、石炭に対する高需要は今後もまだ長く続くとみられると指摘する。インドネシアも石炭の使用を停止する。しかし今すぐではないカリモフ氏は、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が、昨年10月、鉱物資源の原材料のままでの輸出は、付加価値も産まず、雇用を生み出すこともないとして、これを「一時停止」する考えであることを明らかにしたことを指摘している。2022年、インドネシアは6億6,300万トンの石炭の採掘を計画しており、そのうち1億6,570万トンが国内需要に充てられ、残った分が輸出されることになっている。しかし、2021年11月に英国グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP 26)でインドネシアは、二酸化炭素の排出量が高いとされる石炭による発電を少しずつ減らし、2060年までに温室効果ガスの排出量をほぼゼロにするとの声明を表している。
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インドネシア, 電力危機, 電力, 日本, アジア太平洋地域, 石炭
インドネシア, 電力危機, 電力, 日本, アジア太平洋地域, 石炭
インドネシアの電力危機は日本を含めたアジア太平洋地域に影響を与えるのか
2022年1月23日, 16:16 (更新: 2022年1月23日, 21:26) 2022年1月1日、インドネシアが石炭の輸出を禁止すると発表したことを受け、複数の国がすぐに懸念を表明した。インドネシアが石炭の輸出を停止すれば、アジア太平洋地域で石炭不足が引き起こされると同時に、世界的な石炭の価格の上昇を招くことになる。インドネシアは、世界でも最大の石炭輸出国の一つであり、2021年の石炭輸出量は4億3,500万トンに上る。その主な輸出先は日本、中国、韓国、インド、マレーシア、フィリピンである。1月半ばに、輸出禁止は条件付きで一部解除され、石炭を積んだ輸送船はすでに目的地に向けて出航した。しかし、懸念の要素はいまだ取り除かれていないままとなっている。
インドネシアが突然、石炭の輸出を禁止した理由は、国内の火力発電所における石炭の備蓄量が、国内の電力供給を円滑に行うことができないほどの危機的レベルにまで減少したことである。インドネシア政府は、国内の石炭事業者に年間生産量の25%以上を、1トンあたり70ドル(およそ8,000円)という固定の価格で国内の電力会社などに供給する国内優先義務を課している。2021年11月、アジアの市場における発電用石炭の価格は1トンあたり215ドル(およそ2万4,000円)に達した。
世界の石炭価格が高騰する中、インドネシアの電力生産者は、国外に輸出した方がより大きな利益を得られるとして、国内優先義務に従わなかったことから、インドネシアは電力供給の崩壊の危機に瀕することとなった。2021年には、国内企業634社のうち、この国内優先義務を遂行した企業はわずか15%にとどまった。これにより、2021年8月、インドネシア政府は34の鉱山会社に対し、石炭の輸出を禁止した。その後、1月13日に政府は国外への供給を再開したが、国内市場での石炭の確保が優先課題であると警告を発した。
インドネシアの石炭を輸入する国々はこれに対し、素早い反応を見せた。フィリピンのアルフォンソ・クシ エネルギー大臣は、インドネシアに対し、こうした政策は、電力生産を石炭に大きく頼っている国々の経済に損失をもたらすと述べ、石炭の輸出禁止を撤回するよう求めた。オーストラリアからの輸入が非公式に禁止されたことを受けて供給先をインドネシアに転換した中国も深い懸念を示した。国内での石炭生産量も多い中国であるが(およそ3億7,000万トン)、インドネシアからの供給量の減少を補填することは、中国にとってかなり厳しい問題である。一方、日本政府もこうした状況に懸念を表し、インドネシアの国内発電所では高カロリー石炭は使用されていないとして、禁輸対象から除外するよう要請した。また1月10日、萩生田光一経済産業大臣は、インドネシア政府の5人の大臣と会談し、
輸出禁止措置の早期解除に向けた協議を実施した。
一方、世界で石炭の需要は低下しており、ますます多くの国で脱炭素社会の実現に向けた動きが加速化している中、アジア太平洋地域では、石炭の需要がかなり高く、分析センター「オトクルィチエ」金属部門のダニイル・カリモフ部長は、世界の専門家の評価によれば、石炭に対する高需要は今後もまだ長く続くとみられると指摘する。
「アジア太平洋地域の国々は、発電所の電源の割合による石炭の供給の減少に関するリスクという見地から言えば、共通しているとは言えません。中国、インド、韓国は、石炭が、発電所の電源の大部分を占めています。一方、日本は石炭よりも天然ガスの割合の方が多くなっています。しかし、日本では石炭不足はかなり深刻なものになると言えます。たとえば、沖縄電力は、必要とする発電用石炭のほぼ半分を、インドネシアから輸入しています。インドネシアの石炭の輸出禁止を部分的に解除するという今回の決定によって、今後の状況が安定するわけではありません。もちろん、このことによりインドネシアは貿易相手国としての名声を傷つけられることになるわけですが、政府と石炭事業者との対話はまだ続いており、すべての企業に対して、輸出に対する制裁が解除されたわけではありません」。
インドネシアも石炭の使用を停止する。しかし今すぐではない
カリモフ氏は、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が、昨年10月、鉱物資源の原材料のままでの輸出は、付加価値も産まず、雇用を生み出すこともないとして、これを「一時停止」する考えであることを明らかにしたことを指摘している。
「インドネシアはすでに、国内での加工への投資を引き込むことを目的に、いくつかの鉱物の輸出を禁止しています。また現在は、電力用石炭を含めたその他の資源の加工の問題についても検討されています」。
2022年、インドネシアは6億6,300万トンの石炭の採掘を計画しており、そのうち1億6,570万トンが国内需要に充てられ、残った分が輸出されることになっている。しかし、2021年11月に英国グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP 26)でインドネシアは、二酸化炭素の排出量が高いとされる石炭による発電を少しずつ減らし、2060年までに温室効果ガスの排出量をほぼゼロにするとの声明を表している。