2つの海草から生まれたこの海草(Posidonia australis)は、人の手が加わらずに生存し続けた結果、地球上で最も大きな植物に成長し、約200平方キロメートル(サッカー場約2万面分)にわたって広がっている。
今回、豪フリンダース大学の研究者らがこの海草の遺伝的差異を調べたところ、驚くべき事実にたどり着いた。海底に広がるこの海草から複数の地点でサンプルを採取していて調べたところ、複数のPosidonia australisが生育しているのではなく、1本の植物であることが分かった。
同大学のマーティン・ブリード博士(生態学者)は、「私たちは、一体ここで何が起こっているのだろうと困惑してしまった」と語っている。西オーストラリア大学のエリザベス・シンクレア博士によると、この海草は2つの親から遺伝子を半分ずつ受け継いだのではなく、すべて保持しており、子孫を残す能力はほとんどないという。
シンクレア氏は、この海草が「セックスをしない」にもかかわらず、これほど長い間生存していることが謎だと述べている。同氏は、この海草は子孫を残す能力がないため、自らの成長能力に頼らざるを得ないようだが、この海草が生育している場所全体で、遺伝子上に非常に微妙な変異が検出されたとのことで、この事実もこの植物の極めて長い寿命を説明できる可能性があると指摘している。