欧州エネルギー大手シェルは、2月末に、「サハリン2」プロジェクトを含む、「ガスプロム」、「ガスプロム石油」の合弁企業から撤退すると発表した。ロシアからの撤退によるシェルの損失は40億ドルと見積もられている。
一方これに対し日本は、この事業はエネルギーの安定的供給を保証するものであるとして、事業継続の意思を強調していた。プーチン大統領が事業の運営主体の再編を命じる大統領令を出した後、日本はロシア政府に対し、追加情報を要請していた。
「サハリン2」には、陸上処理施設で繋がれた3つの海上プラットフォーム、石油輸出ターミナル、LNGプラント(年間960万トン)が含まれている。日本は輸入している液化天然ガス全体のおよそ9%をこの事業で賄っている。
ロシアのプーチン大統領は2022年7月1日、「サハリン2」の事業主を新たに設立されるロシア法人に移行し、現行のオペレーターである「サハリン・エナジー」の資産、また権利や義務を移すことを定める大統領令に署名した。
サハリン2の事業会社サハリンエナジーには、ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムが約50%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%それぞれ出資。天然ガス生産量の約6割が日本向けとなっている。事業会社がロシア企業に移管されることで、日本の調達に影響が出る可能性がある。
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