ブリンケン氏は、ラシュディ氏が人権を「一貫して擁護した」一方で、「悪意のある勢力」がヘイトスピーチや暴力の呼びかけを通じてこれらの権利を弱体化させようとしていると表明した。
ブリンケン氏は「特にイランの政府機関は、何世代にもわたってラシュディ氏に対する暴力を呼びかけており、国営メディアは同氏の命を狙う試みにうめき声を上げてきた。うんざりだ」と述べた。
同氏は、米国とパートナーは、利用可能なすべての手段を使用してこれらの脅威に対抗すると付け加えた。
ラシュディ氏の暗殺未遂に対する世界中からの非難の声
ジョー・バイデン米国大統領は、8月13日に発表された声明の中でラシュディ氏と同氏の作品は普遍的な価値を体現していると述べ、「真実。勇気。回復力。恐れることなくアイデアを共有する能力。これらは、自由で開かれた社会の構成要素だ」と強調した。
英国の元財務長官で首相候補のリシ・スナク氏は、イランに対する制裁導入と、イスラム革命防衛隊(IRGC)がラシュディ氏への襲撃に関与したとされるテロ組織として認定するよう求めていた。
EUのジョセップ・ボレル外務・安全保障政策担当上級代表はツイッターで「基本的権利と自由を侵害するこのような犯罪行為を国際的に非難することが、より良く自由な世界への唯一の道だ」と書き込んだ。
ドイツのナンシー・フェザー内務大臣は、ラシュディ氏の暗殺の試みについて、何十年にもわたって作家を迫害し、同氏を殺すと脅してきたイラン当局を非難した。
サルマン・ラシュディ刺傷事件
ラシュディ氏は8月12日、訪問先の米ニューヨークで、講演のために設けられた壇上に上がった際に襲われた。刃物で10回から15回にわたって切りつけられ、集中治療室で治療を受けた。犯人は逮捕された。ニューヨーク タイムズは14日、ペンシルベニア州の病院に入院している75歳のラシュディ氏が人工呼吸器から外されて話し始めたと報じていた。
ラシュディ氏はインド出身の元イスラム教徒で、現在は無神論者。1988年に発表されたムハンマドの一生を描いた作品「悪魔の詩」は、冒涜的であるとしてイスラム世界で激しい反発を招いた。イランの最高指導者ホメイニ師(当時)はラシュディ氏に対して「死刑」を宣告し、世界各国で翻訳・出版関係者が暗殺されるなど波紋を呼んでいた。
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