これまでにロシア科学アカデミーの医療生物学問題研究所(IMBP)は、ロシアの宇宙機関「ロスコスモス」の要請を受け、星間飛行をする際の「人工睡眠」が可能かの研究を進めている。この研究のなかでは、「禅」や「瞑想」といったアジア民族の伝統文化として実践されている、心理状態を操る精神工学の適用可否も評価されるとしている。
バドマエフ氏は、蝶などの単純な生き物でさえ瞑想状態になることがあると例を出し、睡眠状態に「精神を定着」させることができれば、それはとても長い間続くことが予想されると指摘する。
「人間が(瞑想などの)実践を習得できれば、宇宙開拓の一助になるでしょう。そうした実践が我々にはあります。別の惑星に人間を派遣する際にもこの実践は生きるはずです」
バドマエフ氏は「瞑想の実践は、すなわち仏教の実践だ」と締めくくった。
星間飛行の人工睡眠というと、SF小説「2001年宇宙の旅」や映画「エイリアン」シリーズで登場するようなコールドスリープ(冷凍睡眠)が連想され、現実には不可能なようにも思える。だが、バドマエフ氏がいうように、人工睡眠の秘密は日本人にも身近な仏教のなかに隠されているのかもしれない。
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