笹川平和財団・海洋政策研究所長、東方経済フォーラムで北極の諸問題を討議 ロシア訪問で対話を継続

ロシア・ウラジオストクで8日まで開催された第7回東方経済フォーラムに、日本から笹川平和財団・海洋政策研究所の阪口秀所長と、幡谷咲子研究員が参加した。阪口氏は北極圏における各国協力をテーマにしたセッションに登壇し、財団の役割や研究所の活動・展望について紹介するとともに、ロシアや各国の専門家と意見を交換した。同財団の畔蒜泰助主任研究員もオンラインで登壇し、エネルギー政策・安全保障の観点から、日露によるサハリン2プロジェクトの継続を評価した。
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討議の中で中国の専門家は、中国は北極圏に関する情報収集の段階であり、これからの20年間、北極圏は宇宙空間と同様に、重要な研究対象となると述べた。インドもまた北極圏に高い関心を示しているが、安全保障の面で、北極圏における各国間の「不信感」が高まっていると指摘した。
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ノルウェー南東大学のグレン・ディゼン教授は、この8年間のEUとロシアの関係はノルウェーにも大きく関わっており、北極もその例外ではないと指摘。現在、ノルウェーはアメリカの影響をより強く受けるようになったことから、ノルウェーがアメリカとロシアの争いの場になってしまう懸念を見せた。またディゼン氏は、バランスを保ちながらロシアと良好かつ長期的な関係を築きたいと述べ、ロシアとの関係悪化を望まないことを強調した。
笹川平和財団は伝統的に東方経済フォーラムに参加し、ロシアと対話してきた。阪口氏によると、今年の招聘も迷うことなく受け入れたという。
「私たち笹川平和財団は、民間シンクタンクの立場から北極に関わる活動を進めてきました。ロシア極東発展省とも、北極の様々な問題に対してどのような共通の取り組みができるか、日露それぞれの国で何をしていくのか、数年間に渡ってコンスタントに対話を重ねてきました。私たちの今回の訪問の目的は、そのパイプをもっと太くしていくことです。ロシア、日本、世界全体で、共通の問題を一緒に解決していくというのが私たちのミッションなので、それに貢献できることは何でもやっていくという気持ちです」
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ロシア訪問の成果の一つは、日本にいては得られない情報を収集できたことだ。
「日本では、ロシアでどのような取り組みが行われているのか、特に北極の諸問題に関する情報はとても少ないです。私たちが持っている情報は、極東発展省との対話によるところが大きいのですが、今回ロシアを訪問し、モスクワ大学やロスアトム、ノヴァテックといった多くの機関・企業の取り組みの情報を得ることができました。皆さん、オープンにやっていこうという姿勢で、それぞれの専門家の方々とお話もでき、素晴らしく良い印象を持ちました。早く色々な問題が終わってくれることを望みますし、今後もロシアを含む関係国と日本とは、北極圏の諸問題について一緒にやっていくべきだと考えています」
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