石油価格の指標となる英ブレントの11月先物価格は8日、1バレル当たり87.96ドルの値をつけ、今年2月1日以来の低水準となり、産油国の間に衝撃が広がった。
グロモフ氏は取材の中で、米国で景気後退が起こったほか、欧州でも景気後退が迫りつつある現状を指摘した。そのため第4四半期では原油の需要が低下する可能性が極めて高く、その場合は供給が需要を上回る形となり、価格低下に繋がっているという。グロモフ氏によると、石油輸出国機構と非加盟国(OPEC+)が9月に予定していた増産を10万バレルの減産に切り替えたことはこれに関係しているという。
またロシア産原油価格の上限設定について主要7カ国(G7)が行った提案をインドが検討する可能性があると米国政府は指摘しており、これも世界的な原油価格に影響を与えているという。原油のトレーダーはインドが上限設定に加わる用意がある点について、原油価格が通常価格に移行するサインと受け取っている。グロモフ氏は次のように指摘している。
「というのもロシアはどの道、そうした状況でも、自らのパートナー国に原油を輸出するからだ。ロシアが原油の輸出を完全に止めると信じる人は世界で稀だ」
また、イラン核合意に関する交渉は停滞しているものの、長期的にこれが成功するという期待もあるという。イランでは合意締結後すぐにでも市場に供給できる原油がなんと1億バレルもタンカーに保管されているとのこと。
原油価格の変動は景気後退の規模やOPEC+の協調減産に関する決定、及びロシア産原油価格の上限設定が決定された場合にロシアが実際に取りうる行動に影響を受ける模様。
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