「実際にはバイデン氏がこうした声明を表したのは、今回が初めてではない。バイデン氏は米国の首脳とはいえ、その演説を米国の政策が劇的に変化したことを示す証拠と受け取れるわけではないと思う。もし米議会で『対台湾政策法案」のような台湾関連の法案が可決される事態となれば、それは戦略的なシグナルとして、つまり、『一つの中国』の原則が確かに変化して、台湾問題が新しい局面を迎えていると判断することができるだろう。しかし、国家元首という特別な地位にあるバイデン氏がこのような挑発的な発言をするのは『一つの中国』の原則に挑戦状をたたきつけるも等しい。総じて、トランプ政権にしろバイデン政権にしろ、米国は関連法案を多数起草しており、そのどれもが『一つの中国』の原則を絶えず希釈している。今の段階ではこうした措置は、これまで達した合意の主幹に触れるものではないが、中国としては依然として警戒を怠るわけにはいかない。さらに、アメリカの対台湾政策がより明確になってきており、今までの戦略的な曖昧さは次第に退きつつあると結論づけることができる。バイデン氏の度重なる発言は、本質的には(警戒を怠るな)というシグナルをこちらに送っている」
「第一に、これは二国間関係に大きなダメージを与える。それだけではない。台湾海峡を挟んだ両岸の関係も衝撃を受けることになる。今、両岸の間の緊張は非常に高まっている。米国の言動は台湾の分離主義勢力に誤ったシグナルを送り、無謀な行動を起こさせるものだ。私は、米国の計画はウクライナで起こしたことと同じことを台湾で再現することだと思う。今、米台関係の修正法案、台湾の国際機関への加盟の奨励が議論されているが、その目的は全て緊張を引き起こすことにある。
第二に、台湾の分離主義勢力は国外からの支援を模索しており、いわゆる普遍的価値、人権、民主主義の旗印を掲げて、欧米諸国での共鳴と支持を求め、現時点で一定の成果を得ている。 日本や欧州諸国は台湾を支持している。このような条件下では、中国と欧米諸国間の政治・経済・安全保障分野の関係に影響が及ぶのは避けられない。
第三に、台湾海峡は地政学的に非常に重要なポイントであり、日本などはこれを一種の係留(アンカー)ラインとみなしているほどだ。しかも、かつての日本の植民地支配の歴史も忘れてはならない。これらはすべて台湾の分離主義者の共鳴を誘う。外部からの挑発で分離主義者らが無謀な行動を起こした場合、地域の安全保障はさらに複雑化する恐れがある」