何が起きたのか なぜ国葬を行う必要があるのか?
国民は反対 岸田首相は賛成
「こうすることで、一方ではかつての同僚への敬意を表し、他方では安倍元首相が国のために多くを尽くした非常に有用な政治家であったことを証明することができる。国民にとって国葬を行うかどうかは、道徳的な問題ではなく、物質的な問題なのだ。反対している人の多くは、この国葬にお金と労力がかかりすぎると考えている。物理的にみても、地域的にも、このようなイベントが実施されると、国民に不便が生じるだろう。しかし、安倍氏の首相としての功績を振り返る人もいる。2度にわたる安倍氏の政権時代をみると、日本にとっては非常に安定した時代であったが、その間、内政において大きな進歩はなく、外交政策ではもっとそれが起きなかった」
「安倍氏が日本において他のどの首相よりも長く政権を務めたことは注目に値する。卓越したカリスマ性のある政治家であり、具体的な目標を設定し、その達成のために努力を重ねた。安倍氏は、日本ではかなり人気があり、安倍氏の下で自民党は選挙で何度も勝利を収めた。しかし、経済で目立った成功を収めたとは言いがたく、『アベノミクス』を笑う人もいるが、安倍氏の下で経済が成長したことは事実であり、(新型コロナウイルスの)パンデミックさえなければ、経済面での成長はもっと大きかっただろう。しかし、外交政策では多くのこと成し遂げ、ほぼすべての国との関係は多かれ少なかれ安定した。全てにおいて成功したわけではないが、手を抜かず、前に進んできたのだ。 そして道は、ご存知のように、歩く人によって出来上がるのだ。 日本政府は、日本にもこのような栄誉に値する英雄がいることを世界に示したいのだ。 特に、安倍氏の死はとても悲劇的なものだった。だから日本政府は、世界政治の『上流階級』を招待したのだ」
「第一に法的根拠がきわめて希薄なことです。政権側は内閣法の規定を持ち出していますが、強引なこじつけでほとんど説得力がありません。法治国家の否定を意味します。
第二に安倍元首相が神格化され、批判する自由が萎縮しかねないことです。安倍政権には「功」の部分もあった(私はその立場ではありません)のかもしれませんが、それと同等あるいはそれ以上に「罪」の部分があったと考えます。しかし、それをあげつらうことは「不敬」であると指弾されかねません。
第三に安倍元首相と旧統一教会とのつながりです。宗教団体ではなくカルト団体と密接な関係をもち参院議員一人の当落まで差配するほど、旧統一教会と深いつながりをもった人物を、国費で弔うことに多くの国民は納得していません」
「安倍氏が首相を務めた時期には、資金の不正利用に関するスキャンダルが何度も噴出したが、そういったスキャンダルは、始まった時と同じように突然終わった。左派の人たちは、安倍首相の長所をほとんど見ず、安倍氏を『タカ派』だとしている。 第二に、おそらくこれは重要なことだが、日本政府が今回の国葬の意義を自国民に説明する時間を作らなかったことだ。 日本国内でも国葬反対の署名を集めるデモが行われているが、大規模なものではない。先日も、ある男性が抗議のために自らの体に火をつけたが、極端な形での不満の表明は即座に阻止された。もちろん、これは唯一の事例だが、こういう感情的なところが日本人の特徴で、昔はこういう場合では切腹していた」