再編「サハリン1・2」をめぐる状況

「サハリン2」からの撤退は日本にとって不合理なもの

EU(欧州連合)はロシアに対する新たな制裁パッケージで、日本に有益なものとなる例外を設けた。これは石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」を通じたコンデンセート混原油の日本向けの海上輸送、当該輸送に関する技術サポート、ブローカー・サービス、融資または資金援助は、制裁の適用から除外されるというものである。
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除外の期間は2022年12月5日から2023年6月5日までとなっている。ちなみに、ロシア・ウクライナ紛争を原因とするEUによる対露制裁はこれで8弾目となっている。
新たな制裁パッケージでは、とくにロシアから、またはロシア製の石油と石油製品の第3国への瀬取りを含めた輸送が禁止されている。これまでは、技術サポートや融資を含め、直接または間接的なサービスのみが禁止されていたが、今回のパッケージでは、輸送の禁止が発動されると同時に、例外が設けられた。
これは、石油または石油製品が上限価格で販売された場合についてである。とはいえ、この上限価格はまだ設定されていない。また、上限価格設定に合意したエネルギー開発プロジェクト、またこれをエネルギー安全保障のために必要とする複数の国に対しても例外が設けられており、日本もこの対象となっている。
欧米よりもうまくエネルギー危機に対処する日本
日本は原油の大部分を外国から輸入している。米国と英国が、今年3月にロシア産石油の輸入禁止を初めて発動した後、日本政府は石油の輸入禁止に対しては慎重な態度を続けていた。
6月、岸田文雄首相が、G7に課せられた義務の枠内で、ロシア産の石油や石炭の輸入を少しずつ減らしていくと約束したことから、ロシアから日本への石油の輸入はほぼゼロにまで削減された。ロシア産のLNG(液化天然ガス)の供給については言及がなかった。7月にロシア産石油の輸入は再開されたものの、輸入量は、昨年同時期比で65.4%低下した。
一方同月、日本向けの石油の輸出量は全体で3.8%増加した。そのうち、ロシア産石油の割合は全体の3.6%にとどまっている。もちろん、長期契約ではなく、そのときどきの必要に応じて、短期で取引するスポット契約が多く、調達先を変更して代替することが可能である。
しかし、日本政府は、ロシア産原油の輸入の削減や停止の時期などについて、日本が必要とする原油の調達に支障が生じないよう、今後の実態を踏まえ、国民生活や企業の事業への影響を最小限に抑えながら決定していくとの方針を明らかにした。
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「スプートニク」からの取材に対し、ロシアエネルギー発展基金のセルゲイ・ピキン会長は次のように述べている。

「日本は、制裁の結果を熟考しなかったことで、加盟国、非加盟国の状況をかなり複雑化させたEUと同じ運命をたどりたくはないのです。おそらく、『サハリン2』からの日本向けの石油の輸送に対する今回の制限解除は、日本との合意なしには行われ得なかったものでしょう。

 日本はあらゆるリスクを計算しています。制裁によって石油の採掘量は減っているとはいえ、サハリンは日本にとって、重要な資源の源なのです。

 最近、大手海運会社の商船三井が、タンカー『Grand Mereya』でのLNGの輸送に関して、『サハリン2』の新たな事業主体との間で長期契約を締結したのも、意味のあることです。これにより、商船三井は以前と同様の条件で、輸送サービスの提供を継続することができるのです。

 日本企業は、きっちりと法を遵守しており、企業や国の評判を落として、制裁を回避しようとはしていません。EUが今回行った例外は、そうした日本企業に自由を与えるものです。これは世界の原油市場が激動している今、とても重要なことです。とりわけ、OPEC加盟国が石油の採掘量を日量で200万バレル削減することで合意したことを考慮するとなおさらです」

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一方、経済高等学院のアレクセイ・スコピン地域経済・経済地理学部長は、日本は合理主義的な国であり、今回のEUの決定は日本の介入があってなされたものだと確信していると述べている。

「というのも、日本は単にサハリンから資源を受け取っているだけでなく、採掘も行っているのです。つまり、かなりの投資と技術が注ぎ込まれているのです。ですから、EUの政治的野望のために、このプロジェクトから撤退することは合理的ではありません。

 『サハリン1』も『サハリン2』も、石油・ガス開発プロジェクトですが、石油や天然ガスを採掘するときには必ず不純物が出てきます。たとえば、石油の採掘にはヘリウムが、またガスの採掘には硫黄が回収されます。カザフスタンでは石油やガスの産地ではバリウムも採取できます。

 これは大した量ではありませんが、サハリンにある日本の採掘坑には、不純物を取り除く装置が設置されています。しかも、石油・ガスの採掘のライセンスに不純物についての記載はなく、それをどうするかは採掘する側の判断に任されています。

 日本人がそこから獲得した不純物を使用しているか、廃棄しているのか、わたしは知りません。しかし、副産物は燃やしてしまうこともできれば、何か有益なものにすることもできるのです」

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