「日本は、制裁の結果を熟考しなかったことで、加盟国、非加盟国の状況をかなり複雑化させたEUと同じ運命をたどりたくはないのです。おそらく、『サハリン2』からの日本向けの石油の輸送に対する今回の制限解除は、日本との合意なしには行われ得なかったものでしょう。
日本はあらゆるリスクを計算しています。制裁によって石油の採掘量は減っているとはいえ、サハリンは日本にとって、重要な資源の源なのです。
最近、大手海運会社の商船三井が、タンカー『Grand Mereya』でのLNGの輸送に関して、『サハリン2』の新たな事業主体との間で長期契約を締結したのも、意味のあることです。これにより、商船三井は以前と同様の条件で、輸送サービスの提供を継続することができるのです。
日本企業は、きっちりと法を遵守しており、企業や国の評判を落として、制裁を回避しようとはしていません。EUが今回行った例外は、そうした日本企業に自由を与えるものです。これは世界の原油市場が激動している今、とても重要なことです。とりわけ、OPEC加盟国が石油の採掘量を日量で200万バレル削減することで合意したことを考慮するとなおさらです」
「というのも、日本は単にサハリンから資源を受け取っているだけでなく、採掘も行っているのです。つまり、かなりの投資と技術が注ぎ込まれているのです。ですから、EUの政治的野望のために、このプロジェクトから撤退することは合理的ではありません。
『サハリン1』も『サハリン2』も、石油・ガス開発プロジェクトですが、石油や天然ガスを採掘するときには必ず不純物が出てきます。たとえば、石油の採掘にはヘリウムが、またガスの採掘には硫黄が回収されます。カザフスタンでは石油やガスの産地ではバリウムも採取できます。
これは大した量ではありませんが、サハリンにある日本の採掘坑には、不純物を取り除く装置が設置されています。しかも、石油・ガスの採掘のライセンスに不純物についての記載はなく、それをどうするかは採掘する側の判断に任されています。
日本人がそこから獲得した不純物を使用しているか、廃棄しているのか、わたしは知りません。しかし、副産物は燃やしてしまうこともできれば、何か有益なものにすることもできるのです」