ブルームバーグが事情に詳しい匿名の関係者の話として伝えたところによると、現地時間18日午前7時ごろ、ロシアとの国境に近いトルコ東部の港湾都市・リゼ付近の空港から短距離弾道ミサイルが発射された。その後、約561キロ飛行し、中部シノップ沖に落下したという。
トルコの国産ミサイル計画「タイフーン」は数年前から極秘で進められてきたとされている。だが、国産兵器開発を監督する政府機関「国防産業」は、プロジェクトに関するいかなる情報も認めなかったという。
トルコは北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるが、戦闘機購入契約における米国との摩擦や、同じNATO加盟国の隣国ギリシャとの軍事的緊張などを抱えている。そのため、米国やNATOだけに頼らない独自の軍備調達体制を強化する十分な動機があるといえよう。
これまでに、トルコはロシア製対空防衛システム「S-400」を購入しているが、これを受け米国は、制裁として最新型戦闘機「F-35」供給プロジェクトからトルコを排除。同じNATO加盟国から警戒される事態となっている。その後も別の戦闘機の購入について交渉が進められているが、不調に終わればロシア産戦闘機の購入も視野に入ると報じられている。
また、エーゲ海をめぐる領土紛争を抱えるギリシャとの緊張関係も、8月以降先鋭化している。トルコ軍戦闘機「F-16」がエーゲ海上空でNATOの任務遂行中に、ギリシャがロシア製対空防衛ミサイル「S-300」を作動(ロックオン)させた事件をきっかけに互いの挑発が激化。直近では経済などの国内問題を背景に、トルコ軍がギリシャに「ある夜突然現れる」可能性があると軍事衝突を懸念する論調もみられる。
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