外国人記者を対象にブリーフィング会見を行った家族社会学が専門の山田昌弘・中央大学文学部教授は、出生率低下の主な原因の一つとしてセックスレス夫婦の増加を挙げた。
なぜセックスレス夫婦が増えているのか、スプートニクが山田教授に伺った。
山田昌弘教授のデータによれば、日本におけるセックスレス夫婦の割合は、20年前に4組に1組であったものが、今は50%を超えている。さらに、2021年、国立社会保障人口問題研究所という国の機関が国として初めてセックスレス調査をした結果、18歳から49歳までの既婚女性の内、58.5%がセックスレスであることが判明した。
「欧米大勢の記者から質問を受けた時には、『なぜ日本人はセックスレスで結婚し続けるんですか』というような質問を受けたんですけれど、日本人にとって結婚とは経済生活が一番大切で、性関係は二の次だというふうに思っていると言っておきました。まとめて言いますと、日本では結婚には二つの意味があって、経済的に新たな生活をスタートさせる、心理的には好きな人と一緒に暮らすという2つの側面があります」
スプートニクは、山田昌弘教授に、なぜ日本でセックスレス夫婦が増えているのか質問した。
「私はその専門家ではないんですが、ひとつは『面倒くさい』というのが最大の理由です。そして、コストパフォーマンスが悪いと思っているらしいです。あと、日本はいわゆる性的サービス業が発達しており、不倫、婚外の関係の方が楽しいと思う人も多いですね。結婚している男性の15%くらいが性的サービス業を利用しているという統計もあります。つまり、私はこれを親密性の分散投資と呼んでいるんですが、ヨーロッパ、アメリカの恋愛文化が強いところは、一人の相手に対して全てを求めるケースが多いのだと思います。親しさも一緒に遊びに行くのも、一緒に楽しくおしゃべりするのもロマンチックな関係も性関係も一人に求めるという傾向が強いと思いますが、日本は結婚したら、リラックスするのは家で、楽しくおしゃべりするのはクラブで、性的関係はお金を払ってと言うのも悪くないなと思う人がまだ多いんです。私は今ペットを家族とみなす人たちの調査をしているんですが、夫とはキス、ハグをしないけれど、ペットとは毎日しているという女性たちを調べたこともあります。それで幸せだからいいんじゃないですかね、と私は思うしかないです」
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