韓国の軍産複合体は、米国製、ドイツ製、フランス製、ソ連製、そしておそらく中国製の戦車の技術的工夫を再解釈した後、最終的に北大西洋条約機構(NATO)規格に従って装甲および武装された戦車を製造したが、ロシア風に軽量でもある。K2戦車の戦闘重量はわずか55トン。対ミサイルと煙幕を組み合わせたアクティブ防護システムVIRSS soft-killが装備されている。
戦車の情報・制御システムであるオンボードコンピュータは、戦闘作業(情報の収集や処理、火器制御、車両のコンポーネントや機械部品の状態の監視)を可能な限り自動化する。油気圧サスペンションは、各ローラーの位置を変更する。
K2戦車には、最大で毎分15発の射撃が可能なヒュンダイWIA製CN08 55口径120mm滑腔砲が装備されている。エンジンは独自に開発したDoosan Infracore製DV27Kだが、韓国製トランスミッションの信頼性が十分ではなかったため、ドイツRenk社製のトランスミッションが取り付けられている。
K2「ブラックパンサー」は、技術的に非常に複雑な戦車で、極めて高価。1両あたりの価格は880万ドルから900万ドル(米製戦車M1A2 SEP V3「エイブラムス」よりも高い)。なお、K2はまだ実戦に参加したことはない。K2が敵との戦いでどのような動きをするかは、今のところわからない。ロシアの有名な軍事専門家のアレクセイ・レオンコフ氏は、スプートニク通信向けの論評で、電子機器が詰め込まれた車両は実際の戦闘では信頼性が低い可能性があると指摘している。
「K2戦車では、電子機器と自動化に重点が置かれている。電子機器が人間の代わりにほぼすべてのことを決定するとき、それは乗組員の活動が楽になるということだ(武器をほぼ単独でターゲットに向けることさえできる)。しかし、そのような乗組員は緊急事態が発生した場合、完全に無力になる可能性がある」
たとえば、対戦車兵器の狙いを定めにくくするとされる自動エアロゾル煙幕などのアクティブ防護システムの要素を取り上げてみよう。レオンコフ氏は、これは演習場では効果的に見えるが、実際の戦闘では多くの兵器が戦車に狙いを定めているため、エアロゾルが不足するとの見方を示している。
「韓国人は、ソ連製 T-80U 戦車を含むさまざまな『流派』の戦車から最も良いところをすべて取り、それを自分たちの戦車に押し込んだ。そして、重量と大きさの点では最重量級の主力戦車ではないものの、電子機器が大量に詰め込まれているため、非常に高価な戦車となっている。演習場の条件下では奇跡を起こすことができるが、実戦ではこの『奇跡』はすぐに終わってしまうだろう。また、この戦車を戦闘状況下でどのようにして運用するのか、どのようにして修理するのか、ライフサイクルの間に戦車に詰め込まれたこのすべての電子機器をどのようにして動作稼働な状態で維持するのか?という疑問も生じる。ものすごく高価ということになる!またK2は、熱帯や低温など、環境が違う戦場でどのように動作するのだろうか?これに対する答えはない。ちなみに、ロシア製戦車T-14「アルマータ」は、運用の過程でその能力が確認された。電子的な『超最新の付属品』は有望に見えるが、諸兵科連合においてはほとんど何の役にもたたない」
レオンコフ氏はK2について、上手くいかなかった米国製戦車M2 SEP4「エイブラムス」と同じ道を辿る可能性があるとの見方を示している。米国は、電子機器を詰め込んだこの「壊れない」戦車をサウジアラビアに売却した。しかし、武装が完全ではないフーシ派が、この戦車の弱点を見つけたのだ。狙撃銃から放たれた銃弾がリモートセンサーの1つに当たり、戦車のソフトウェアが自己診断を開始したため、戦車は「立往生」した。戦車に対して擲弾発射器で攻撃したり、対戦車ミサイルを発射するのに数秒かかった。
関連ニュース