ローテーション方式の配備に異論を唱えたのはマイク・ギャラガー下院議員ら共和党の4人。「インド太平洋地域での米軍の前衛戦力の顕著な低下を招く」と指摘し、ジョー・バイデン政権が掲げている「地域での米国の責務を果たす」という発言と一致しないと批判している。
ギャラガー下院議員は次のように述べている。
「国防総省の決定は、中国共産党だけでなく、インド太平洋地域の同盟国やパートナー国への誤ったシグナルを送ることになるのではないかと懸念している」
4議員らはロイド・オースティン国防長官に対し書簡を送り、在日米軍基地の戦闘機部隊の更新について説明するよう求めた。また、「中国の攻撃に対抗し、台湾侵攻を抑止できる力がある地域における軍の配備」を定めた計画をつくるべきだという考えも示した。
岸田政権はこれまでに今後5年間で防衛力の抜本的強化を目指すとしており、8月に明らかになった防衛省の2023年度予算概算要求は過去最大の約5兆6000億円となっている。日本政府がこうした動きを進めるのは、台湾や中国と海を挟んで接する沖縄が、対中有事におけるもっとも重要かつ最前線の戦略的拠点になるからにほかならない。
これまでに浜田靖一防衛相も、有事の際に敵の通信やレーダーを妨害する電子戦部隊を来年度にも与那国島に配備するとし、石垣島にも今年度中に陸自のミサイル部隊を置く方針を示している。また、対中有事を念頭に備蓄・補給面を強化するため、奄美大島(鹿児島県)に燃料タンクや火薬庫を増設する考えも明らかにするなど、沖縄を含む南西諸島の防衛強化に動いている。
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