国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、今冬の欧州のガス備蓄は9割程度にまで満たされた。だが、そのガスの大部分はこれまでに「買いだめ」したロシア産ガスだ。問題は、この備蓄がいつまで保つかだ。
オランダの石油トレーダー大手「Vitol」のラッセル・ハーディーCEOは、CNBCのインタビューに対し次のように述べている。
「我々には厳しい冬が待ち受けているが、来年の冬はさらに困難なものになるだろう。なぜなら、2023年の前半に欧州がアクセスできる石油の量は、今年より著しく減少するからだ」
また、イタリアのエネルギー大手「Eni」のクラウディオ・ディスカリッチ社長も、問題は今年の冬ではなく、ロシア産のガスが手に入れられなくなる次の冬だと指摘。「何もなくなってしまうのではないか」と懸念している。
専門家らは、エネルギー問題が深刻な社会の波となって押し寄せる可能性を指摘している。すでに欧州各地では数倍にも膨れ上がった電気代に不満を持った人々が、抗議のデモを起こしている。
国際石油資本「BP」のベルナルド・ルーニー社長は、石油価格が「許容できない」レベルにまで達しつつあると指摘する。すでに予定していた燃料代の1.5倍を支払っている消費者もいるという。だが、備蓄と国の財政出動による価格調整によって、欧州は今年の冬はなんとか乗り切れそうだとも述べている。
ロシアガス大手のガスプロム社のアレクセイ・ミレルCEOはこのごろ、欧州全体はこの冬、一番寒さの厳しい時期に凍り付く恐れがあると指摘した。
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