ネタニヤフ派は120議席のうち、64議席を確保しているが、彼自身のリクード党は議席を伸ばしたといっても32議席にしか満たない。組閣、政権運営には極右との連立が必要不可欠だ。今回、極右の宗教シオニスト党は議席を従前の2倍となる14議席となっており、連立政権のなかで少なくない発言力を持つことになる。
今回の選挙結果と極右の台頭について、トルコの政治学者、ハイダル・オルチ氏はスプートニクの取材に対し次のように述べている。
「ネタニヤフ派の政権復帰はネタニヤフ本人の勝利とは思えない。宗教シオニスト党の指導者の一人で、パレスチナ人に対する厳しい政策で知られるイタマル・ベン・グビルのレトリックは国民の支持を得ている。彼は内務大臣になるともいわれているが、これはイスラエルにとってネガティブな結果をもたらすかもしれない」
また、ロシアとイスラエルの関係について、オルチ氏は「ロシアの指導者・プーチンとネタニヤフは共通言語と見解の一致を見つけるでしょう」と語る。ネタニヤフ氏はウクライナ支援を口にしているものの、これは選挙戦におけるレトリックに過ぎず、実現は難しいという。
一方、イスラエルと米国は建国以来、基本的には良好で関係であり、ジョー・バイデン米大統領は今回の選挙後、ネタニヤフ氏と電話会談し勝利を祝福している。また、ネタニヤフ氏は2021年に下野する前、ドナルド・トランプ前大統領とは個人的な関係を築き、「エルサレムをイスラエルの首都と公式に認める時がきた」と言わしめた。
さらに、イスラエルと対立関係にあるイランの核問題をめぐって、ネタニヤフ氏は従来から強硬姿勢を示している。これが望み薄ながらも水面下で行われている、イランと米国の核合意復活を遠のかせる一因になる可能性は排除できない。いずれにせよ、イスラエルと米国は協力関係を続けるものの、バイデン政権にとってネタニヤフ氏は一筋縄ではいかない相手になるだろう。
関連ニュース