「米国はモスクワとソウルの関係悪化のため、韓国にウクライナ支援を要請」=専門家

米国は韓国によるウクライナへの致死性兵器の供給を、ウクライナ軍のためではなく、韓国とロシアの関係を悪化させるために求めている。こうした見方をソウルの韓国外国語大学ロシア研究学部長のチェ・ソンフン氏が示している。チェ氏はこうした動きについて、アジア太平洋地域における親米諸国の大同盟に韓国を縛り付け、中国、ロシアに対する抑止力を高めようとするものだとしている。
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これまでに、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、韓国が致死性兵器にあたる10万発規模の榴弾を米国経由でウクライナに供給するために、米韓当局が交渉を進めている報じていた。報道を受け韓国国防省は、最終的に使用するのは米軍であることを条件に交渉を進めていると表明。また、韓国が致死性の兵器を自国でウクライナに供与することはないとも強調している。だが、こうした一連の流れからロシア側の懸念を招くのは必定だ。
チェ教授は次のように話す。

「韓国の榴弾のウクライナへの供給が米国を通している背景には、米国が2月の特殊軍事作戦開始以降、韓国に軍事支援を断続的に求めてきたという事情がある。私は米国が兵器供給を求める理由は、単にウクライナの軍事支援が不足しているというだけではないと考える。要するに、これまで以上に韓国に関与させ、反ロシアの前線に立たせるのが本質なのだ」

韓国によるウクライナへの兵器供与決定に露大統領が警告、「二国間関係を破壊する」
チェ氏は、米国がアジア太平洋地域で北大西洋条約機構(NATO)に類似した、中国とロシアに対抗するための軍事同盟を創ろうとしているという。そのためには露韓の2国間関係の破綻が条件となる。

「現在、北アメリカと欧州諸国以外で、例外的に対露制裁に参加しているのは韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドだ。この4国はアジア太平洋地域における米国の同盟国だ。米国はこれまでずっと、この4国を縛り付け、対中を念頭とした地域版NATOを創ろうとしてきた。世界情勢の変化に応じて、この枠組みを対露抑止にも一時的に利用しようとしている。このためには露韓関係を弱め、冷え込ませることが必要不可欠だ」

チェ教授は韓国製の榴弾は最終的にはウクライナへ渡ることになるとも指摘。また、現在の混沌とした状況を生み出した米国による最大の戦略的間違いは、「自らの覇権を守るためにロシアと中国を敵と位置付けたことだ」と締めくくった。
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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は10月、モスクワで行われた有識者会議「ヴァルダイ国際討論クラブ」で登壇し、「仮に韓国側が兵器供給を実行に移せば2国間関係は破壊される」と牽制していた。これに対し、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、韓国が原則的にウクライナに対して人道支援だけを行っていると説明し、韓国からの軍事支援が決まったとの情報を否定していた。
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