米中対立のなか、軍事ポテンシャルを高める北朝鮮 露専門家が語る

18日午前、北朝鮮が今年に入り31回目の弾道ミサイル発射を行った。ロシア科学アカデミー中国現代アジア研究所の日本研究センターで所長を務めるワレリー・キスタノフ氏は、現時点で緊張緩和の展望は乏しく、韓国と北朝鮮が砲撃で挑発しあった10月のような状況が再来する可能性があると指摘する。
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キスタノフ氏は、韓国が北朝鮮の核ミサイルのポテンシャルを自国の脅威とみなし、北朝鮮に軍事的圧力をかけることで抑止しようとしているとみている。一方の北朝鮮はミサイル開発は防衛的性格をもつものだと主張していると説明する。

「朝鮮半島情勢の緊迫化は、台湾をめぐる米中対立によってより進んだといえる。この状況を利用して北朝鮮はひそかに自らの軍事ポテンシャルを高めようとしているのだ」

キスタノフ氏は「今のところ、緊張は高まるばかりで、緩和に向けた展望は観測されていない」とも指摘した。
2022年 北朝鮮から発射されたミサイルの種類
また、南北双方が大規模な砲撃や軍事演習を行い対立が先鋭化した、10月のミサイル発射後のような状況が再来するかに関しては「可能性は排除できない」とする。その一方で、南北は「お互いに緊張度合いや軍事的行動の限度はよく理解している」とも指摘。レッドラインを超えたときには核戦争となりうるが、そうした事態は「北朝鮮も米国も、日本や韓国も欲していない」と説明した。
18日午前10時14分ごろ、北朝鮮は大陸間弾道弾級とみられるミサイルを日本海方面に向けて発射。ミサイルは約69分間飛行し、午前11時23分ごろ、北海道渡島大島の西方約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられている。
これを受け米韓空軍は、F-35A戦闘機による合同演習を実施。北朝鮮の移動式発射台へのレーザー誘導爆弾による攻撃を想定した訓練が行われた。また、日米もF-15、F-16戦闘機による合同軍事演習を行っている。
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