ミイラの制作は死者の身体を保存するために欠かせなかったという考えはビクトリア朝の研究者らが言い始めたが、彼らの間違いは、ミイラ制作のプロセスが魚の保存のやり方に似ていると規定したことから始まった。こう規定したことから、学者らはエジプト人は魚の保存と同じようにミイラ制作に塩を用いたと考えてしまったのだ。
ところが後日、古代エジプト人がミイラの制作に用いていた物質は食物保存に使用する塩ではなく、天然のミネラルであるナトロンが使われていたことが明らかになった。ナトロンは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムの混合物。
エジプト学者たちの話では、ナトロンは神殿での儀式や、神々への供物として使われていただけでなく、清めの目的でも用いられていた。
マンチェスター大学のエジプト学者らは、内臓を抜き出し、ミイラ化させたのは死者の身体を神格化するためではなかったかと考えている。
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