【解説】弾道ミサイル防衛システムの迎撃ミサイルSM-3の発射試験は、高額で無価値な花火なのか?

日本のイージス護衛艦が、ハワイのカウアイ島沖で、米国のスタンダード・ミサイル系の最新型である「SM–3ブロック2A」迎撃ミサイルの発射試験を行った。2022年11月21日、日本防衛省は、イージス護衛艦「まや」(DDG−179)が大気圏外用の弾道ミサイル防衛システムのSM–3ブロック2A迎撃ミサイルを、また護衛艦「はぐろ」(DDG-180)は2022年11月19日、SM–3ブロック2Bを、それぞれ発射し、いずれも標的に命中した。標的である模擬弾道ミサイルは米ハワイ諸島の最北の島であるカウアイ島から発射された。これは、何度も行われている北朝鮮のミサイル発射と中国人民解放軍の活動の活発化に対する日本の対抗措置であると考えられる。
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日本にも迎撃ミサイルがあるのだということを証明するためである。しかし、海上自衛隊はこの新型迎撃ミサイルを誇ることはできるのだろうか?

きわめて高価なミサイル

我々の分析によれば、防衛能力の強化に関する日本の声明はやや現実とはかけ離れているように思われる。
第一に、注意を引くのが、2回の発射の間隔が3日と長かったことである。
なぜ同じ日に、数分、または長くとも数時間空けて、複数の発射を行わなかったのだろうか。
おそらく敵は一斉射撃を行うことから、それ一つまり同時に、あるいは短い間隔で発射された複数の弾道ミサイルに反撃する必要なのである。
ここには2つ考えられる理由がある。
一つ目は、何らかの技術的問題があり、2度目の発射の前にそれを解決する必要があったということ。
もう一つは、「はぐろ」が2つ目のミサイルが届けられるのを待っていたということである。
第二に、日本はSM–3ブロック2Aを何基、発注したのだろうか。2018年の冬、米国務省は、必要な装備を備えた4基のミサイルの供給を1億3330万ドルで承認した。
そして2019年8月には、同じタイプのミサイル73基を32億9500万ドルで供給する問題について話し合われた。
一方、2022年6月、米国企業レイセオン・テクノロジーズは、合計8億6660万ドルでこのミサイルを供給する契約を結び、このうちの6億3450万ドルは米国向け、残る1億9570万ドルは、日本向けだと発表した。
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価格は上昇

ミサイル1基の価格は、2018年には3330万ドル、2019年には4510万ドル、そして2022年には4890万ドル(もし発注が4基だったとしたら)と推移している。
このようなミサイルを発射するのは、かなり高価な試みである。
SM-3ブロック2Bの購入については、何の情報もない。
これはおそらく、発射試験のために米国から供給されたものと見られる。

日本の護衛艦は標的を捉えられない可能性がある

迎撃ミサイルSM-3ブロック2A–B、それ自体は非常に性能の良いものである。
最大射程は1200キロ、最大迎撃高度は1050キロ、速度は秒速4.5キロ、つまり13.2マッハである。弾頭は、高速で飛来する標的に衝突したとき、TNT火薬に換算して31キロトン?の威力を持っており、これは標的を完全に破壊する以上の力である。射程距離がこれほど大きければ、この地対空ミサイルは、日本全土に対するミサイル攻撃を十分にカバーできるように思われる。しかし、ここには微妙なニュアンスがある。
まず、標的を発見、迎撃するのは、日本の護衛艦に装備された対空レーダーAN/SPY-1D(V)であるが、このレーダーは沿海地域でよく見られる多くの偽信号がある条件下では安定した働きを見せ、電子攻撃にも強い。しかしこのレーダーの改良型は1998年に開発されたもので、それ以降、敵に新たな電子攻撃の手段が作られている可能性もある。
一方、このレーダーの最大の欠点は、探知距離が370キロしかないということである。高度250キロの標的であれば、半径272キロは探知できるが、もし高度370キロ以上を何かが飛来した場合、レーダーはそれを捉えることができない。北朝鮮は弾道ミサイルを、最大6000キロの距離の角度のある軌道で発射するのを好むことから、これは大きなポイントである。護衛艦「まや」は、敵のミサイルが正面に向かって飛んでこなければ、このような標的を捉えることができない。船舶レーダーは、敵の艦船と巡航ミサイルを発見するために作られたもので、大気圏外の標的を発見する能力はかなり限定的である。大陸間弾道ミサイルあるいは中距離弾道ミサイルによる攻撃に反撃するためには、大気圏外4000〜6000キロの標的を捉えることが可能な弾道ミサイル早期警戒システムのついた強力なレーダーが必要なのである。そのようなレーダーは日本にはない。また日本や沿岸水域に駐在する米軍にもない。以上のことから、SM-3ブロック2Aは、優れたミサイルではあるものの、探知能力はないといえる。理想的な条件が揃っていなければ、弾道ミサイルの弾頭を迎撃することはできない。
第二に、ミサイル誘導システムはGPSを用いて、ミサイルの状態を特定するものである。その後、艦船はコースを修正し、ミサイルを標的に定める。しかし、これはこのシステムの大きな弱点である。もしGPS信号が途切れたり、正確でなければ、迎撃は不可能だというところである。というのも、GPS信号は、現代の電子戦に際し、ジャミングされたり、歪んだりしやすい。
たとえば、2018年3月、ロシア軍はシリアで上空配備型電子戦システム「Rychag AV」を使用したが、GPS信号はキプロスと南トルコ上空、つまり半径およそ250キロで、消滅または歪曲した。キプロスとトルコの民間航空組織は、民間航空機の操縦士らに、測位システムに問題が発生する可能性があると警告を発したほどであった。このように、たとえば北朝鮮が海に向け、妨害装置を隠し乗せた漁船を派遣したり、中国がミサイル発射の直前に電子戦機を飛ばした場合、それらは日本の護衛艦がいる海域のGPS信号を妨害し、ミサイルの迎撃を阻止する可能性を持っている。
第三に、北朝鮮または中国の弾道ミサイルを迎撃する可能性を手にするためには、日本の護衛艦は敵のミサイルが飛来する可能性の高い海域で常に監視を行わなければならない。というのも、敵はミサイル攻撃を行う前に、事前にそのことを教えてくれるほど親切ではないからである。2隻の護衛艦は、絶え間ない偵察を行うのにあまりにも少なすぎる。艦船はときどき基地に戻って、燃料を補給し、点検、修理などをする必要がある。となると、少なくとも10隻は必要となる。
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これはまったく対ミサイル防衛ではない

問題を分析した結果導き出される結論は、あまり良いものとは言えない。
日本が有している可能性は、2隻の護衛艦、2隻の船のための3基のSM-3ブロック2A。これは日本の海上自衛隊が横須賀、佐世保などの大規模な海上基地だけを、単独の標的を狙う敵の弾道ミサイル1発から守るのに十分でしかない。
これを安全な対ミサイル防衛と呼ぶことはできないだろう。
どれも、北朝鮮または中国側に、ミサイル攻撃を繰り返すことを邪魔することはできず、ましてや2発、3発の一斉射撃や複数の弾頭が分かれる多弾頭ミサイルの攻撃が行われたときに何もできないことは言うまでもない。
そこで、日本で行われた護衛艦の発射試験は、実質、日本の納税者らの資金を使った無意味かつ高額な花火であったとしか言いようがない。
日本の防衛省は、然るべき対ミサイル防衛のためには10隻の護衛艦、100発以上の地対空ミサイル、そして早期警戒レーダーが必要だということを一体いつ認識するのだろうか?
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