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【解説】J-20が日本の航空自衛隊にとっての最大の敵となるのか
【解説】J-20が日本の航空自衛隊にとっての最大の敵となるのか
Sputnik 日本
中国広東省の珠海で13日まで開かれていた中国最大の航空ショーでは、中国軍の最新鋭ステルス戦闘機「J-20(殲-20)」が初めて公開された。 2022年11月21日, Sputnik 日本
2022-11-21T20:10+0900
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J-20は素晴らしい飛行プログラムを見せたほか、いくつかの曲技を披露した。高度な機動力を備えたJ-20は、かなり大きく、重量もある。サイズは全長21.2メートル、全幅13メートル、最大離陸重量は37トンである。たとえば、F-35はこれより小さく、重量も少ない。日本の操縦士らは、この中国の戦闘機J-20をよりよく分析・調査する必要があるだろう。というのも、この戦闘機は、軍事紛争が発生した際、日本の航空自衛隊にとっての敵となる可能性が大きいからである。日本全土に到達する能力J-20は、中国が開発した戦闘機のハイブリッド型であり、F-35とF-22の製造上の技術的影響をいくらか受けているほか、ロシアの未完成の戦闘機ミグ1.44からも多くのものを取り入れている。スタビライザーのハンドルが前方に設置されているのは、まさにロシアで生まれた構想である。これは戦闘機に高い機動性を与えるものであるが、同時に、操縦士には高い経験値が求められる。一方、J-20の戦域戦術的な利点は、戦闘行動範囲が2000キロに及ぶ点である。これは驚くべきことではない。というのも、戦闘機は、増槽を除いても、12トンのケロシンを搭載することができるのである。中国人民解放軍の空軍にこのような戦闘機が製造されたのは、司令部からの多くの要求に基づくものである。その要求の一つが、新疆にある空軍基地からチベット全土に対して行動を起こすことが可能な戦闘機を作るということであることは明白である。これは、ときおり山岳地帯の両国の境界線上における軍事紛争に発展しているインドとの領土問題に関係している。ウルムチの空軍基地から飛び立ったJ-20は、ラホール、ニューデリー、カトマンドゥに到達し、ウルムチに再び戻ってくることができる。またチベットの上空を十分に防衛することが可能である。そしてこの戦闘機が開発されたもう1つの課題は、日本全土を網羅することであるというのも明白である。J-20の戦闘行動範囲は、2019年より中国人民解放軍空軍の東部戦域軍第9航空旅団が配備されている上海の西にある蕪湖市の空軍基地を飛び立ち、東京に到達し、その上空で航空戦を行い、基地に戻ってくることを可能とするものである。しかし、中国北東部、北朝鮮との国境付近にある、中国人民解放軍空軍の第61航空旅団が配備されている朝陽川空軍基地からであれば、J-20の戦闘行動範囲は、沖縄まで飛来し、韓国の領空を迂回しても、まだ日本全土を十分にカバーすることができるものである。つまり、この中国製の戦闘機は、日本の自衛隊のものはもちろん、米国の戦闘機が配備されている日本のすべての空軍基地に到達可能であるということになる。言い換えれば、有事の際、日本の操縦士らは、飛び立った瞬間に、敵である中国のレーダーに捉えられるということである。J-20に与えられた課題その構造と装備から判断し、J-20は近隣での戦闘を目的としたものではない。近距離の戦闘のための航空機関砲が備わっていないからである。その代わりに搭載されているのが、「空対空」の長距離ミサイル、精密爆弾、そしてレーダー誘導ミサイルである。広い戦闘行動範囲と、このような装備から、J-20にとってどのような目的が優先的であるのかが分かる。まず、早期警戒管制機(AWACS機)を搭載することが可能だということ。これらの航空機は、半径最大650キロまでの上空の目標物を発見し、このデータを150キロまでの距離にある上空の目標物を発見することができる爆撃機に伝送することができる。たとえばボーイングE-3セントリーといったような早期警戒管制機は、航空戦で爆撃機の後を飛行し、爆撃機が敵に接近し、有利な形で攻撃できるよう支援する。J-20は広い戦闘行動範囲を利用し、敵の爆撃機を回避し、敵の早期警戒管制機に近づき、殲滅することができるのである。中国の爆撃機が敵の爆撃機との戦闘を行なっている間に、J-20が敵の早期警戒管制機を撃ち落とすことで、中国の空軍は大きな優位性を得ることができる。この場合、敵は退却するか、殲滅されるかのどちらかしかない。2つ目の課題は、地上の対空・迎撃ミサイルシステムへの攻撃である。このために装備されているのがレーダー誘導ミサイルであり、誘導爆弾である。防空・迎撃ミサイルシステムの位置は、衛星または無線を使って事前に調査してあり、J-20戦闘機群がそれに対して攻撃を行う。対空ミサイルシステムの機能を破壊するのには、小さな爆弾で十分である。これは単純な課題ではない。対空ミサイルが、向かってくるミサイルを迎撃する可能性もあれば、戦闘機を反撃してくる可能性もある。J-20に高い機動性が求められるのは、第一に対空ミサイルを避けるためである。強力かつ持続的な攻撃で勝利のチャンスが生まれる。複数の情報によれば、中国では最大で200機のJ-20が生産されている。2021年には操縦士の指導ができると同時に、2人目の操縦士がオペレーターとなって狙いを定めた兵器を使用することができる2人乗りの改良型が作られた。J-20は精力的に改良が重ねられており、中国人民解放軍空軍の司令部はこれを数年のうちに、主な多目的戦闘爆撃機にしようと考えている可能性がある。そして、3つめの課題であるが、それは、もしも地上の防空・迎撃ミサイルシステムが爆撃された場合、日本の空軍基地を攻撃し、また敵の戦闘機の離着陸時に攻撃を行うということである。これは完全に敵を殲滅し、日本上空の制空権を獲得した場合である。ここまで述べたことは、J-20が具体的な軍事紛争、または具体的な敵に対し使用された場合の可能性を分析した結果である。強調しておかなければならないのは、J-20の多くの性能や能力についてはまだ公開されていないという点だ。とはいえ、中国の最新鋭の戦闘機はかなり多くのことができるということは間違いない。今後20年で、まさにこのJ-20が中国空軍の主要戦力となるだろう。そして、J-20はすでに東シナ海と台湾海峡の偵察を開始している
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【解説】J-20が日本の航空自衛隊にとっての最大の敵となるのか
中国広東省の珠海で13日まで開かれていた中国最大の航空ショーでは、中国軍の最新鋭ステルス戦闘機「J-20(殲-20)」が初めて公開された。
J-20は素晴らしい飛行プログラムを見せたほか、いくつかの曲技を披露した。高度な機動力を備えたJ-20は、かなり大きく、重量もある。サイズは全長21.2メートル、全幅13メートル、最大離陸重量は37トンである。たとえば、
F-35はこれより小さく、重量も少ない。
日本の操縦士らは、この中国の戦闘機J-20をよりよく分析・調査する必要があるだろう。というのも、この戦闘機は、軍事紛争が発生した際、日本の航空自衛隊にとっての敵となる可能性が大きいからである。
J-20は、中国が開発した戦闘機のハイブリッド型であり、F-35とF-22の製造上の技術的影響をいくらか受けているほか、ロシアの未完成の戦闘機
ミグ1.44からも多くのものを取り入れている。スタビライザーのハンドルが前方に設置されているのは、まさにロシアで生まれた構想である。これは戦闘機に高い機動性を与えるものであるが、同時に、操縦士には高い経験値が求められる。
一方、J-20の戦域戦術的な利点は、戦闘行動範囲が2000キロに及ぶ点である。これは驚くべきことではない。というのも、戦闘機は、増槽を除いても、12トンのケロシンを搭載することができるのである。
中国人民解放軍の空軍にこのような戦闘機が製造されたのは、司令部からの多くの要求に基づくものである。その要求の一つが、新疆にある空軍基地からチベット全土に対して行動を起こすことが可能な戦闘機を作るということであることは明白である。
これは、ときおり山岳地帯の両国の境界線上における軍事紛争に発展しているインドとの領土問題に関係している。ウルムチの空軍基地から飛び立ったJ-20は、ラホール、ニューデリー、カトマンドゥに到達し、ウルムチに再び戻ってくることができる。またチベットの上空を十分に防衛することが可能である。
そしてこの戦闘機が開発されたもう1つの課題は、日本全土を網羅することであるというのも明白である。J-20の戦闘行動範囲は、2019年より中国人民解放軍空軍の東部戦域軍第9航空旅団が配備されている上海の西にある蕪湖市の空軍基地を飛び立ち、東京に到達し、その上空で航空戦を行い、基地に戻ってくることを可能とするものである。
しかし、中国北東部、北朝鮮との国境付近にある、中国人民解放軍空軍の第61航空旅団が配備されている朝陽川空軍基地からであれば、J-20の戦闘行動範囲は、沖縄まで飛来し、韓国の領空を迂回しても、まだ日本全土を十分にカバーすることができるものである。
つまり、この中国製の戦闘機は、日本の自衛隊のものはもちろん、米国の戦闘機が配備されている日本のすべての空軍基地に到達可能であるということになる。
言い換えれば、有事の際、日本の操縦士らは、飛び立った瞬間に、敵である中国のレーダーに捉えられるということである。
その構造と装備から判断し、J-20は近隣での戦闘を目的としたものではない。近距離の戦闘のための航空機関砲が備わっていないからである。
その代わりに搭載されているのが、「空対空」の長距離ミサイル、精密爆弾、そしてレーダー誘導ミサイルである。広い戦闘行動範囲と、このような装備から、J-20にとってどのような目的が優先的であるのかが分かる。
まず、早期警戒管制機(
AWACS機)を搭載することが可能だということ。これらの航空機は、半径最大650キロまでの上空の目標物を発見し、このデータを150キロまでの距離にある上空の目標物を発見することができる爆撃機に伝送することができる。
たとえば
ボーイングE-3セントリーといったような早期警戒管制機は、航空戦で爆撃機の後を飛行し、爆撃機が敵に接近し、有利な形で攻撃できるよう支援する。
J-20は広い戦闘行動範囲を利用し、敵の爆撃機を回避し、敵の早期警戒管制機に近づき、殲滅することができるのである。中国の爆撃機が敵の爆撃機との戦闘を行なっている間に、J-20が敵の早期警戒管制機を撃ち落とすことで、中国の空軍は大きな優位性を得ることができる。この場合、敵は退却するか、殲滅されるかのどちらかしかない。
2つ目の課題は、地上の対空・迎撃ミサイルシステムへの攻撃である。このために装備されているのがレーダー誘導ミサイルであり、誘導爆弾である。防空・迎撃ミサイルシステムの位置は、衛星または無線を使って事前に調査してあり、J-20戦闘機群がそれに対して攻撃を行う。対空ミサイルシステムの機能を破壊するのには、小さな爆弾で十分である。これは単純な課題ではない。対空ミサイルが、向かってくるミサイルを迎撃する可能性もあれば、戦闘機を反撃してくる可能性もある。J-20に高い機動性が求められるのは、第一に対空ミサイルを避けるためである。強力かつ持続的な攻撃で勝利のチャンスが生まれる。複数の
情報によれば、中国では最大で200機のJ-20が生産されている。2021年には操縦士の指導ができると同時に、2人目の操縦士がオペレーターとなって狙いを定めた兵器を使用することができる2人乗りの改良型が作られた。J-20は精力的に改良が重ねられており、中国人民解放軍空軍の司令部はこれを数年のうちに、主な多目的戦闘爆撃機にしようと考えている可能性がある。
そして、3つめの課題であるが、それは、もしも地上の防空・迎撃ミサイルシステムが爆撃された場合、日本の空軍基地を攻撃し、また敵の戦闘機の離着陸時に攻撃を行うということである。
これは完全に敵を殲滅し、日本上空の制空権を獲得した場合である。ここまで述べたことは、J-20が具体的な軍事紛争、または具体的な敵に対し使用された場合の可能性を分析した結果である。
強調しておかなければならないのは、J-20の多くの性能や能力についてはまだ公開されていないという点だ。とはいえ、中国の最新鋭の戦闘機はかなり多くのことができるということは間違いない。
今後20年で、まさにこのJ-20が中国空軍の主要戦力となるだろう。そして、J-20はすでに東シナ海と台湾海峡の偵察を開始している