ザポロジエ原発の安全性を巡る状況

ザポロジエ原発砲撃は「汚い爆弾」と同じ効果=IAEA事務次長

国際原子力機関(IAEA)のミハイル・チュダコフ事務次長は、ザポロジエ原発(ロシア西部ザポロジエ州)に命中すれば、いわゆる「汚い爆弾」と同様の効果を生むと警告した。このごろ露南部・ソチで開催された原子力産業の国際会議「アトムエキスポ」で明らかにした。
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汚い爆弾」とは、放射性物質と爆発物を入れた装置のこと。爆薬が爆発すると容器が破裂し、衝撃波によって放射性物質が飛散し、広範囲で放射能汚染を引き起こす。

「もし、施設内にドライキャスクに入れられた使用済み核燃料があれば、そこに砲弾が当たるのは十分考えられ、そうなれば『汚い爆弾』となる。『汚い爆弾』は爆弾の形をしている必要はないのだ」

「汚い爆弾」とは何か?
チュダコフ事務次長はこのように述べ、原子炉格納容器は3メートルほどのコンクリートの壁で覆われているものの、砲撃には耐えられないと続ける。

「昔、イランのブシェール原発で直径2メートルの大きな穴を見たことがある。そのときには中に燃料が入っていなかったが。ミサイルの命中で壁を貫通し、コンクリートが溶けていた」

ブシェール原発はイラン初の原発で、当初は独シーメンスが建設に携わるも、1979年のイラン革命で中断。80年代のイラン・イラク戦争の際に空爆で破壊された。その後、露原子力企業ロスアトムの協力で建設が再開し、2011年にようやく稼働が開始した。
ザポロジエ原発の安全性を巡る状況
ウクライナが原発で「火遊び」、西側は「白紙委任状」を与えている=露外務省

ザポロジエ原発の安全性を巡る状況

ザポロジエ(ザポリージャ)原子力発電所は、欧州最大の原子炉数と出力を誇る原発で、2022年3月からロシア軍の保護下に入っている。度重なるウクライナ軍による攻撃で原発の安全性に問題が生じたため、9月初旬、IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長率いる調査団が査察。調査報告書では、原発の周辺を「安全ゾーン」とする必要性が訴えられているが、その後もウクライナ軍は原発敷地や周辺の町への散発的な攻撃を続けている。10月のザポロジエ州のウクライナからの離脱・ロシア編入に伴い、新運営会社のもとロシア国内の基準に即した運転に移行している。
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