「米国は日本の利益を考慮しています。しかし一方で、自国の利益も追求しています。ここには、ある一定のニュアンスがあります。今回の例外はサハリンのプロジェクトだけに認められたものですが、日本はロシアでこのプロジェクト以外の原油はまったく輸入していないということです。日本は原油を長期契約で、つまりかなり有利な条件で購入していることから、これは日本にとって実に重要なことです。その価格は市場価格でもなく、スポット価格でもありません。そして、日本企業がサハリンプロジェクトから撤退せず、新たな運営会社の株式を維持したということだけを考えても、日本企業に対してはおそらく割引があるでしょう。ですから、日本にとっては、現在の市場におけるもっとも有利な提案として、サハリン産の原油を維持することが重要なのです。
しかし、その代わり、日本企業は、G7の加盟国として、ロシア産原油の価格上限設定に加わることに同意しました。これにより、日本企業はG7に便宜を計った形です。米国にとってこれは重要なことです。なぜなら、米国は、ロシアに対して制裁を発動しているだけでなく(米国自体は、4月1日までロシア産原油の輸入を禁止した)、幅広い国々の連合を作っているからです。日本に公式的にこの決定を支持させるために、日本にとって例外を作ったのです」。
「日本は自国の国益を守りつつ、米国の立場に矛盾しないよう努めています。制裁に対するこうしたアプローチには2つの行動モデルが見られます。たとえばハンガリーは制裁への参加に反対しています。理由は、それが国益に損失を与えるものだからです。ハンガリーは、自分たちの国に例外を作ってくれるまで、この決定を阻止すると言っています。
つまり、対立に出ているのです。それに引き換え、日本はこの問題に対し、より柔軟なアプローチを見せています。ロシアとの協力を継続するため、裏で合意を結ぼうとしています。それは単に有益だというよりも、本当に必要なものだからです。しかしその上で、公には、逆に制裁には全面的に支持しようとしています。」